競うよりのんびり。尖るよりまったり。そういう「高級感」ってある
2006年~2013年にかけて、スーパーGT選手権GT500クラスで活躍したレクサスSC430ですが、本質はそこまでスポーティなキャラクターではありません。どこもかしこも角の取れたマルっこいルックスの印象どおり、日常レベルでの走り味には「尖ったところ」が皆無です。

乗り心地と接地感の伝わり具合のバランスが絶妙で、おっとりと走ってもそこそこ攻めても楽しい。目下最大の課題となっているのは、オートアンテナ。時代を感じさせるのでしまっておきたいのだが、収納する方法が未だわからず。
たとえば当時の国産車としては最高峰となる280psを発揮する4.3L V8ユニットは、メカニカルな自己主張が非常に控えめ。現代の直噴×ターボが伴うわかりやすいモリモリ感とは対照的に、ウルトラスムーズな吹け上がりが特徴です。
面白いのは、体感的にはそれほど力強さを感じないのに、実はしっかり低速域からトルクがついてきていること。2000回転を切ったあたりからでもアクセルコントロールに素直に反応しながら、回転の伸びに対してストレスなく加速します。全開にしても変なノイズや振動は皆無。一気呵成な吹け上がりはシンプルに「気持ちいい」ものです。
こうした素直さは、ハンドリングにも共通して感じられます。もともとボディまわりの剛性はオープントップの割には十分に高いものがありますが、サスペンションなどのシャシー剛性はやや頼りなさげ。アシストの感触などステアフィール自体も、どちらかと言えば古典的な曖昧感が漂います。
ところがそうしたSC本来のおおらかさとレグノGR-XⅢは、相性抜群。しっかり感や安定感、静粛性や快適性に至るまですべての面でバランスよくグレードアップさせることができました。そもそも「のんきでおおらか」な味付けに、ほどよく芯の通ったしっかり感がプラスされた・・・といったところでしょうか。
ちょっと大げさかもしれませんが、最新のテクノロジーが生んだ新たな時代のプレミアム性が、黎明期のレクサスが追い求めた「洗練」「自然」「滑らか」といった高級車ならではのひとつの理想を、さらに一段、高みに引き上げてくれている・・・そんな幸せ感が漂います。
もともとGR-XⅢは、むやみに自己主張をするタイプでありません。過度にグリップを追求するのではなく、路面とのほどよい対話感や適度な操舵感といったタイヤに求められる「精度」を高めることで、車種を問わず本来クルマが持つ才能をしっかり引き出してくれる印象。そうした「懐の深さ」はSCに限らず、ほかのちょいふるプレイミアムカーたちにもぴったり、と言えるかもしれません。
なにはとおあれ、メチャ暑&メチャ混みだけど見どころ満載の万博見学と、ストレスフリーなのんびりドライブを楽しむことができました。オーナーとしては「狙いどおりの進化」を実現できたことで、ちょいふるSC号に対する愛着がますます深まる一方です。
そんなこんなで間もなく、9回目?の車検を迎えることになります。

あくまで証拠写真。昼と夜、どちらにも独特の雰囲気があって楽しめる空間だった。

こちらも証拠写真。大阪市内には、そこかしこにみゃくみゃくが生息している。