全体的にスムースなグラベルだが予想外なことが起こる可能性も
「ラリー・デル・パラグアイ」の中心となるのは、パラグアイの首都アスンシオンから南東に360kmほど離れた「エンカルナシオン」。南アメリカ大陸の中央南部に位置するパラグアイはブラジル、ボリビア、アルゼンチンと国境を接しており、ラリーはアルゼンチンとの国境を流れるパラナ川の周辺に多くのステージが設定される。
ステージの路面はグラベルで、非常にハイスピードなステージと、密林地帯を走行するテクニカルなステージの両方が含まれる。赤土の路面は全体的にスムースながら滑りやすく、予測不能なグリップが入り混じる。また路面が軟らかいため、同じステージを2回目に走行する際は、路面に深い轍が刻まれている可能性がある。
この地域ではこれまで、エンカルナシオンのあるイタプア県の名を冠した「ラリー・トランス・イタプア」が行われきたが、今回のWRC開催イベントではステージの多くを受け継いでいる。しかしラリー1のマシンがステージを走行するのは今回が初めてで、WRCのトップカテゴリーで戦うドライバーはペースノートを新たに作成しなくてはならず、その精度が結果に大きく影響する可能性がある。
「ラリー・デル・パラグアイ」は、8月28日木曜日の午前中のシェイクダウンで公式スケジュールがスタートし、その日の夜にエンカルナシオンでセレモニアルスタートが行われた後、翌29日金曜日の朝から戦いがスタート。
デイ1としてサービスパークの東側エリアを中心に4本のステージを、エンカルナシオンでのミッドデイサービスを挟んで各2回走行。そのうちSSS4とその再走ステージであるSSS8「アウトドロモ」は、全長2.5kmのスーパーSSとなる。8本のステージの合計距離は140.90kmに達する。
30日土曜日のデイ2は、サービスパークの西北エリアで3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。また、ミッドデイサービスの直前には、SSS12として3度目の「アウトドロモ」を走行。7本のステージの合計距離は113.60kmとなる。

第10戦ラリー・デル・パラグアイのステージマップ。WRC初開催となるため、未知の部分も多い。
トヨタはオジェのエントリーで最強の布陣で挑む
ドライバー選手権トップ3につける、エルフィン・エバンス、カッレ・ロバンペラ、セバスチャン・オジェの3名がマニュファクチャラーズポイント獲得の役割を担い、前戦ラリー・フィンランドで今シーズン2回目となる2位表彰台を獲得した勝田は今回も4台目のGRヤリス ラリー1をドライブする。
なお、サマーシーズンを特別なシルバー基調のカラーリングで戦ってきたトヨタは、今回からブラック基調のカラーリングに戻る。
一方、前戦ラリー・フィンランドで序盤に速さを見せながらも結果となったヒョンデは、オイット・タナック、ティエリー・ヌーヴィル、エイドリアン・フルモーの3台で参戦。柔らかく高速なグラベルで速さを見せており、ここでどんな走りを見せるか注目される。

WRC初開催のラリーで今シーズン9勝目を目指すトヨタは、オジェのエントリーで最強の布陣でのぞむ。

グラベルで勝利を狙える速さを発揮するヒョンデ。パワグアイ−チリの南米2連戦で連勝を狙う。