初開催のパラグアイはパンク頻発で大荒れ
今年がWRC初開催となる南米パラグアイ。サファリにも似た高速のグラベルロードは、路面の荒れている区間も多く、ほとんどのドライバーがパンクに見舞われて順位が乱高下する乱戦模様となった。
ドライバーズ選手権の状況を見て9回目のタイトル獲得に意欲を燃やし、本来は出場予定のなかった南米ラウンドにも参戦するオジェも例外ではなく、SS2でパンクを喫して37秒以上もの遅れをとってしまう。
ラリー序盤をリードしたのはヒョンデのアドリアン・フルモー。チームの先輩格であるオィット・タナックとヌーヴィルがペースが上がらないのを尻目に、SS3で首位に立つとSS6までそのポジションを維持。しかし、続くSS7の後半でパンクを喫してしまう。
代わって首位に立ったのは、前戦勝者のカッレ・ロバンペラ。ロバンペラは金曜日を首位で終え、土曜日午前も首位をキープ。2連勝は間違いないかと思われたが、午後のSS15でこちらもパンクに見舞われ、ステージ序盤だったために2分以上のタイムロス、優勝どころか表彰台圏外となってしまった。

WRC初開催となったラリー・デル・パラグアイは全体的にはハイスピードなステージが多く、赤土の路面はスムースながら非常に滑りやすかった。また、路面の荒れている区間もあり、多くのドライバーがパンクを喫した。
SS2でのパンクから追い上げてオジェが逆転勝利
これで首位に立ったのが、パンクで出遅れ、ベストタイムを連発して追い上げていたオジェだった。
雨模様となった最終日、パンクやコースオフ、スタック、エンストなどのトラブルが相次いで最後まで混戦模様となった2位争いをよそに、しっかりと首位をキープしたオジェは、最終パワーステージで大雨に見舞われてタイムを落としたが無事にステージをフィニッシュ。シーズン4勝目を達成した。
ただし、フィニッシュ直後は優勝の喜びより、「ひとりだけ大雨に見舞われてしまった。選手権争いにとっては痛いね」と最終ステージでのタイムロスで日曜日単独のポイントとパワーステージポイント、ランキング首位に立つチャンスを失ったことに不満顔。それでも直後の記者会見では「金曜日の状況から、ネバーギブアップの精神で走った。勝てたことが何より」とようやく笑顔を見せた。
ドライバーズ選手権では、最終パワーステージで2位に浮上したエバンスが198点で首位をキープしたが、ロバンペラが191点、オジェが189点と混戦模様となってきた。

オジェが今季4勝目をあげたことで、ドライバーズランキングの上位は急接近。今季フル参戦ではないが、オジェはいよいよタイトルを狙い始めたようだ。
次戦第11戦ラリー・チリ・ビオビオは、9月11日から14日、同国中南部コンセプシオンを起点としたグラベル(未舗装路)で開催される。ラリー・チリは今年で4回目の開催。森林地帯のテクニカルな中高速ステージが大部分を占め、全体的に路面はスムースだが、タイヤに厳しいセクションも多い。(文:新村いつき)