「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、クライスラー イプシロンだ。
クライスラー イプシロン(2012年:ニューモデル)

全長は3.8mあまりというコンパクトなサイズ。リアサイドドアハンドルはCピラーの根元に隠されているので、一見3ドアにも見える。
「クライスラー」ブランドとしては4年半ぶりに日本に導入されたニューモデルが、コンパクトカーのイプシロンだ。EUでは「ランチア イプシロン」として販売されているが、日本ではクライスラーとフィアット グループとのアライアンスの関係で「クライスラー イプシロン」となる。
本来はフィアット傘下の高級車部門であるランチア ブランドで販売されているプレミアム コンパクトカーのイプシロンだが、ランチアが正規輸入されていない日本では、フィアットとの提携を強化中でクライスラー ブランドより発売されることになった。
メカニズム的にはフィアット 500(チンクエチェント)と共通性が多く、日本導入モデルのエンジンは、フィアット 500にも搭載されて人気を得ている875cc 2気筒のツインエアのみ。アイドリングストップ機構も備え、JC08モード燃費は19.3km/Lに達する。
ドライブフィールは、フィアット 500でおなじみの・・・と思っていたら、いい意味でけっこう期待を裏切ってくれる違いが感じられた。5速シーケンシャルシフトの「デュアルファンクション システム」は、フィアットでいうところのデュアロジックだが、いつの間にかこれほど進化したのかと思わせるほど、シフトチェンジの歯切れが良くなっていた。クリープも穏やかで、運転しやすい。

センターメーターを採用したインテリアもユニーク。トランスミッションは、インパネシフトの2ペダルMTだ。