これまで親しまれてきた名称を取り入れる新たなネーミング
フォルクスワーゲン「ID.」は、フォルクスワーゲンブランドのポートフォリオにおける独立した電動専用製品群を示すもので、いわばフォルクスワーゲンの電気自動車ブランドといったもの。

「ID.ポロ」は、名称どおり、ポロの電動化バージョン。コンセプトカー「ID.2all」改め、「ID.ポロ」として市販されることになった。たしかにこのほうがわかりやすく、親しみやすい。
2018年にこのネーミングが導入され、まず「ID.3」が登場すると、その後も車両セグメントに応じてモデルナンバーで区別されたモデルが追加され、さらにミニバンスタイルの「ID.バズ(ID.BUZZ)」も登場。最大のモデルはセダンとワゴン仕様が用意される「ID.7」で、「ID.」は現在ドイツおよび欧州市場においてトップシェアを誇っている。
日本市場には2022年11月に「ID.4」が上陸、2025年6月にはフル電動ミニバン「ID.バズ」の販売が開始され、大きな話題を呼んでいる。
「IAAモビリティ2025」で世界初公開される予定の「ID.ポロ」は、2023年3月にドイツで発表され、これまでコンセプト「ID.2 all」と呼ばれていたモデル。新たなネーミング戦略には、これまで多くの人々に親しまれてきた名称を電動ポートフォリオに取り入れることで、フォルクスワーゲンは電動化と内燃機関の両世界を融合し、将来的に顧客がブランドの製品ラインアップをよりわかりやすく把握できるようにする狙いがあるが、「ID.ポロ」はこの戦略の第一弾モデルとして、ポロ誕生50周年の節目に新しい名前で登場する。
「ID.ポロ」は、EV用プラットフォームの最新版となる「MEB エントリー(MEB Entry)」をベースに、フロントに最高出力226psのモーターが搭載され、前輪を駆動する。動力性能は0-100km/h加速が7秒以下、最高速は160km/hで、WLTPモードによる一充電走行距離は最大約450km、高速充電器による残量10%から80%までの充電時間は約20分と公表される。ボディサイズは全長×全幅×全高=4050×1812×1530mmで、ホイールベースは2600mm。全長は「ポロ」に近く、全幅は「ポロ」よりもワイドで背が高い。

「IAAモビリティ2025」では、「GTI」のパフォーマンスを電動自動車に持ち込んだ「ID. ポロ GTI」(右)も公開される。
また「IAAモビリティ2025」では、「GTI」のパフォーマンスを電動自動車に持ち込んだ「ID. ポロ GTI」、さらに電動コンパクトSUVのコンセプトカー「ID. クロス コンセプト(ID. CROSS Concept)」も世界初公開される予定で、このコンセプトカーの市販版「ID. クロス 」はT-クロスの電動版として2026年末に市場投入される。
フォルクスワーゲン ブランド取締役会のセールス・マーケティング・アフターセールス担当のマルティン・サンダー氏は今回の発表について「ポロのようなモデルは、名前に大きな力と意味を持っています。それは信頼性、個性、歴史を象徴する存在です。だからこそ私たちは再び、日常生活に根付いた感情を呼び起こす名前をID.モデルに与えるのです。電動モビリティは革新的であるだけでなく、身近でパーソナルな存在でなければなりません」とコメントしている。