伝説として始まり、革新へと至ったスーパーカーたち。1970年代の懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまで紹介していこう。今回は、プジョー 205ターボ16だ。

プジョー 205ターボ16(PEUGEOT 205 TURBO 16:1984〜1986)

画像: 見た目はFF2ボックスの205によく似ているが、中身はまったく別物のスーパーマシンが205ターボ16だ。

見た目はFF2ボックスの205によく似ているが、中身はまったく別物のスーパーマシンが205ターボ16だ。

プジョー 205ターボ16はスーパーカーとは呼びがたい存在かもしれない。だが、このモデルはほぼ同時期に登場したポルシェ 959フェラーリ 288GTOなどと同様にグループBマシンであり、そのパフォーマンスはスーパーカーと呼んでも異和感のないものだ。

プジョーはグループB規定による世界ラリー選手権(WRC)に参加すべく、205ターボ16を開発。FFハッチバックの205のボディフォルムが与えられているが、完全なコンペティションモデルとして開発されている。コクピットの後ろに横置き搭載されたエンジンは、XU8T型と呼ばれる1775ccの直4DOHC16バルブにターボを装着したもの。当時の規定の過給器係数1.4をかけて2500cc以下に排気量が収まるように設計されている。

実際に市販された公道バージョンとワークスマシンではパワースペックなどに大きな差がある。公道バージョンでは、KKK製のターボチャージャーとボッシュ製Kジェトロニックの組み合わせで、最高出力200psと最大トルク26.0kgmというパワースペックを発生していたが、WRC仕様では、最高出力は500psを大きく上回っていたといわれている。

画像: 横置きにミッドシップ搭載されたエンジンは助手席寄りにオフセットされ、左右の重量バランスを整える。

横置きにミッドシップ搭載されたエンジンは助手席寄りにオフセットされ、左右の重量バランスを整える。

シャシ設計も、FFの205とは大きく異なっている。サスペンション形式は前後ともダブルウイッシュボーンが採用され、ミッドシップマウントされたエンジンは助手席側のフロント寄りにオフセットして搭載され、運転席側にはトランスミッションとインタークーラーが配されていた。

駆動方式は、もちろんフルタイム4WD。基本的な設計をシトロエン SMにまでさかのぼることのできる5速MTから出力されたトルクは、ビスカスカップリングを組み合わせたセンターデフによって前後のディファレンシャルへと伝達され、その駆動力配分は通常時には33:67とされていた。

プジョー 205ターボ16はWRCで数多くの優勝を飾り、1985年、86年と2年連続でマニュファクチャラー部門とドライバー部門のダブルチャンピオンに輝く。まさに、グループB時代のWRCを象徴するコンペティションマシンだった。

画像: 大きく張り出した前後フェンダーやリアセクションはラリーで勝つために必然的にデザインされたものだ。

大きく張り出した前後フェンダーやリアセクションはラリーで勝つために必然的にデザインされたものだ。

プジョー 205ターボ16 主要諸元

●全長×全幅×全高:3820×1700×1353mm
●ホイールベース:2540mm
●車両重量:1145kg
●エンジン種類:直4 DOHCターボ
●総排気量:1775cc
●最高出力:200ps/6750rpm
●最大トルク:26.0kgm/4000rpm
●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・100L
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:横置きミッドシップ4WD
●タイヤサイズ:210/55VR390

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