将来的にはレベル4に準拠した自動運転システム搭載車の市場導入を目指す

大開口スライドドアを開け、電動スロープを出した状態のeパレット。
2018年のCESで発表され、2019年の東京モーターショーで実車を披露し、2021年に開催された東京オリンピック/パラリンピックで選手村を巡回するバスとして活躍した電動モビリティ「eパレット」。いよいよ実用化を目指して、新たなフェーズのモデルが登場した。
まずは、2025年10月に開業する「トヨタ アリーナ東京(TOYOTA ARENA TOKYO)」およびその周辺エリアと、静岡県裾野市の「トヨタ ウーヴンシティ(Toyota Woven City)」から導入し、輸送サービスでの活用や物品等を販売する移動型店舗など、さまざまな取り組みを進めていく。加えて、一部地域では販売店や自治体、自動運転パートナーとも連携した自動運転実証などを進め、2027年度にはレベル4に準拠した自動運転システム搭載車の市場導入を目指す。
eパレットは、低床、大開口スライドドアにより、短時間での乗降が可能だ。車高調整機能により低床を実現し、電動スロープにより、歩道高さ15cmの場合、車いすの人が介助なく自力で乗降することもできる。車いすのワンタッチ固定などのオプションも装着可能だ。

eパレットの車内。車いすのワンタッチ固定などのオプションも装着可能だ。
自動運転はレベル2相当のシステムに対応可能だ。2027年度にはレベル4に準拠した自動運転システム搭載車の市場導入を目指すべく、継続して機能実装していく。トヨタの車両制御インターフェース(VCI:Vehicle Control Interface)に対応して開発されたさまざまな開発会社による自動運転システム(ADK:Automated Driving Kit、自動運転制御ハードウェアおよびソフトウェア、カメラやLiDARといったセンサーなどを含む)を搭載することで自動運転に対応することが可能となる。
スムーズかつ安全な運行管理システムとの連携も
さらに、自動運転システムと車両制御システムの接続を標準化するとともに、システムの堅牢性や信頼性を高めるための冗長システムも搭載。自動運転システムとセットで安全、安心な走行の実現に寄与して、自動運転を実現する。また、スムーズな自動運転オペレーションを助ける運行管理システムとの連携も可能となる。
ハンドルには「ステア by ワイヤ システム」を導入し、操作量を軽減することで運転手の負担を軽減。また、異形ハンドルを採用し、先進的なコクピットを実現している。車内外には利用シーンに応じた表示が可能なデジタルサイネージを装備。ユーザー自ら編集可能なサイネージソフトも提供し、さまざまな情報を発信することも可能だ。また、安心降車アシストに加え、車室内監視システムにてドア周辺を監視することで、ドア開閉の安全確認をサポートする。

異形ハンドルを採用した、eパレットの先進的なコクピット。
充電方式は急速/普通の両方に対応しており、非常時の電源として、車両が停止した状態でも給電が可能となり、災害時にも活躍する。
車両価格(税込)は2900万円だが、環境省による「商用車等の電動化促進事業」の対象(補助金額1583万5000円)となっている(2025年9月15日現在)。なお、eパレットは受注生産となるため、問い合わせや申し込みはトヨタ自動車 エアロ・モビリティ事業部 eパレット担当窓口へ。将来的には、トヨタの車両販売店を通じた販売への移行を予定している。

充電は、急速/普通の両方に対応している。
トヨタ eパレット 主要諸元
●全長×全幅×全高:4920×2080×2650mm
●車両重量:2950kg
●定員:17名(座席4+立席12+運転手1)
●フロア高:370mm(車高調整オプション使用時は270mm)
●最高車速:80km/h
●WLTCモード航続距離:約250km
●バッテリー総電力量:72.82kWh
●モーター最高出力:150kW
●モーター最大トルク:266Nm
●充電時間
急速(DC90kW・200A):40分程度(満充電量の約80%充電)
普通(AC6kW・30A):12時間程度