モーターマガジンムック「ランサーエボリューションChronicle」が現在モーターマガジン社より発売中だ。ハイパワー4WD車の代表として多くのファンから支持されてきたランサーエボリューション。その変遷を詳細に解説した内容が好評を博している。ここでは、同誌からの抜粋をお届けする。今回は電子制御センターデフ(ACD)の装着により、フルタイム4WDで革新的な速さを見せつけたエボリューションⅦついて解説しよう。

エクステリア、インテリアはより洗練されたものに

画像: フロントマスクはスクエア基調のグリルなど全体的にあっさりとしているが、大型のインタークーラーが高性能を主張する。

フロントマスクはスクエア基調のグリルなど全体的にあっさりとしているが、大型のインタークーラーが高性能を主張する。

エクステリアに関しては、エボリューションVIと比べると、フロントマスクも含め、スマートなエクステリアとなっているのがエボリューションVIIの特徴だ。機能的な部分としては大開口の放熱用アウトレットと、冷気導入用NACAダクトを配置したアルミ製ボンネットフードなどが目立つ。だが、全体的にはおとなしい印象にまとまっている。機能的な部分としては、空気抵抗の減少を図りながらエンジンの冷却効果を高めるサイドアウトレット付グリル一体型バンパー、エンジンルーム下面を覆う大型アンダーカバー、ボディと一体感ある前後ブリスターフェンダー、フロントおよびサイドの各大型エアダム、可変仰角機構付リアスポイラーなどが従来からの変更点として挙げられるだろう。

フロントビューは、多眼ヘッドランプや補助灯を含めて一体化を図り、精悍で迫力ある表情を与えるとともに、優れた照度分布と高い光力を追求したもので、夜間走行時の安全性を高めた。メーカーオプションでは、ディスチャージヘッドランプ+フォグランプを設定している。また、テールランプはクリアタイプ6連リアコンビランプを採用した。

画像: ボディはランサーセティアがベース。ただ、各部の補強は20カ所に及ぶ専用リーンフォースメントの採用で大幅に剛性が向上した。

ボディはランサーセティアがベース。ただ、各部の補強は20カ所に及ぶ専用リーンフォースメントの採用で大幅に剛性が向上した。

インテリアでは室内色を、オフブラックのモノトーンを基調色とし、機能パーツでは新デザインのMOMO社製本革巻3本スポークステアリングホイール(RSはメーカーオプション)、本革巻シフトノブ、パーキングレバーグリップが採用された。インストルメントパネルに目を移すと、丸型タコメーターを中央に配した専用の5連スポーツメーターが備わる。それぞれにシルバーベゼルをあしらわれスポーティ感が強調されている。またACD走行モードを表示するインジケーターを見やすい中央部に設定した。シートはレカロ社製バケットシート(RSはディーラーオプション)を採用している。

画像: MOMO製ステアリングホイールを標準装備。本革巻きシフトノブにはブルーステッチが施される(GSR)

MOMO製ステアリングホイールを標準装備。本革巻きシフトノブにはブルーステッチが施される(GSR)

タイヤは、GSRは標準で高性能ハイグリップコンパウンドと横方向のひずみ耐性に優れる高剛性カーカスの専用タイヤを採用し、高負荷旋回時の安定したグリップ性能と軽量高剛性を両立させた。タイヤサイズは従来の225/45ZR17から235/ZR17とすることで、高G旋回時のグリップ力を向上させている。ホイールは新デザインのメッシュタイプで、サイズは従来の17x7.5JJから17x8JJに変更されている。ブレーキはGSRには、ブレンボ製フロント17インチ用ベンチレーテッドディスクブレーキ(対向4ポットキャリパー)、リアに16インチ用ベンチレーテッドディスクブレーキ(対向2ポットキャリパー)を採用。タンデムブースターを大型化し、効きとペダル操作における剛性感を向上させた。

ABSには、前後Gセンサー、横Gセンサー、各車輪速センサーに加え、新たにハンドル角センサーを新設。これらがドライバーの操舵を検知し、旋回制動時の操舵応答性を向上させるスポーツABS(EBD付)となっている。EBDとは、電子制御制動力配分システムのことだ。

画像: ダッシュボード右側に新たに設けられたACDモード切替スイッチ。エボリューションⅦのキモといえるデバイスとなった。

ダッシュボード右側に新たに設けられたACDモード切替スイッチ。エボリューションⅦのキモといえるデバイスとなった。

モータースポーツの活躍だが、WRCでは1997年からWRカー規定が採用されていたのはこれまでも述べてきたとおり。グループAよりも少量生産の、いわばWRCだけのために作られたスペシャルカーで参戦できるというレギュレーションだ。主だったメーカーがWRカー規定に則ったマシンで参加するのに対して、市販車をベースとするグループAでの参戦に三菱自動車はこだわった。しかし、他メーカーのラリー専用開発車が相手では苦戦を免れず、2001年から三菱自動車もWRカー規定でマシンを作ることになった。よってエボリューションはWRCの上位クラスでは戦えないある意味不幸なクルマとなってしまった。

ただし、ベース車両の性能がものをいうグループNでは、プライベーターに盛んに使用される状況は変わらなかった。国内のモータースポーツを見るとACDという武器を利用して活躍をした。ただ、電子デバイスで速く走るというのは、クルマが速く走らせてくれていることでもあり、ドライビングテクニックを磨きたい人たちには微妙な位置づけとなったのも事実だ。エボリューションVIIは、国内サーキットレースでの活躍も見落とすわけにはいかない。スーパー耐久選手権レースで2001年に三菱PUMAランサーEVO VIIがチャンピオンになるなどの活躍を見せた。

ランサーGSRエボリューションⅦ主要諸元

●全長×全幅×全高:4455✕1770×1450mm
●ホイールベース:2625mm
●車両重量:1400kg
●エンジン:直4DOHC16バルブ+インタークーラーターボ
●排気量:1997cc
●最高出力:280ps/6500rpm
●最大トルク:39.0kgm/3500rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:フルタイム4WD
●10.15モード燃費:9.6km/L
●車両価格(当時):299.8万円

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