2011年9月、MINI初の2シータークーぺ「MINIクーぺ」が日本市場に登場した。次々とボディラインナップを充実させていたMINIの新たな提案は日本市場でどうように受け入れられたのか。Motor Magazine誌は、大注目の中、上陸を果たした「クーパーS」の試乗テストを行っているので、ここではその模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2011年12月号より)

MINIブランド第5弾はMINIとしては初の2シーターモデル

ハッチバック、コンバーチブル、クラブマン、そしてクロスオーバーと、そのボディラインナップを充実させてきたMINI。今回、日本に上陸した新モデルが、MINIブランド第5弾となる「クーペ」だ。

このクーペは、量産型のMINIとしては初の2シーターモデル。スリーサイズは3745 ×1685×1380mmと、ベースとなるMINIのハッチバックモデルと比べると全高が50mm低く、全長・全幅は同寸法となる。ホイールベースも2465mmと変わらない。

グレードは、最高出力122ps/最大トルク160Nmを発生する1.6Lエンジン搭載のクーパー、184ps/240Nm(オーバーブースト時260Nm)を発生する1.6Lターボエンジン搭載のクーパーS、その1.6Lターボをベースに211ps/260Nm(オーバーブースト時280Nm)までチューンされたエンジンを搭載するジョンクーパーワークス(JCW)の3種類。MINIの定石どおり、グレード名と搭載エンジンスペックはイコールの関係になる。

クーパー/クーパーSには6速MTのほか6速ATも用意される。JCWは6速MTのみの設定。他のMINIラインナップと同様に、ブレーキエネルギー回生システムやエンジンオートスタート/ストップ機能(MT車。JCW除く)を搭載するなどによって燃費性能も高く、クーパーの6速MTモデル、クーパーSの6速MT/6速ATモデルの3グレードはエコカー減税の対象となっている。

画像: 80km/h以上になると自動的に上昇するアクティブリアスポイラーがMINIモデルでは初めて採用される。

80km/h以上になると自動的に上昇するアクティブリアスポイラーがMINIモデルでは初めて採用される。

走り味はMINIそのものだがフロント越しの景色は別物

今回試乗したモデルはクーパーSの6速AT仕様。フロントセクションはMINIハッチバックと変わらないものの、ブラック化されたヘッドライトユニットや車高の低さで、正面から見てもすでにタダモノではない妖しい雰囲気を漂わせている。

リアスタイルはMINIクーペの真骨頂だ。ベースボールキャップを逆に被ったようなデザインのルーフスポイラー一体型、その名も「ヘルメットルーフ」が、特別なMINIであることを主張する。グランツーリスモ的なクラシカルなスタイルだ。

リアゲートを開けると、大きなトランクスペースが広がる。MINIハッチバックよりも広いVDA値280Lもの荷室は、2座ということを考えると十分なもの。車室からのトランクスルー機能も標準で装備されているので使い勝手も良い。

ドアを開け運転席に座りエンジンを始動、さっそく走り出す。大型のセンタースピードメーターやメッキが施されたトグルスイッチなど、インパネまわりのデザインはすべてMINIハッチバック系と共通だが、運転中に目に飛び込んでくる景色はまったく異なったものになる。

これはAピラーの角度が13度寝かされることによるもの。MINI/コンバーチブル/クラブマンの、「立ったフロントウインドウ」と比較してCd値も下がることやアクティブリアスポイラーによるダウンフォースの効果により、ハッチバックよりもこのクーペのほうが30kgも重いにもかかわらず、0→100km/h加速性能はハッチバックの6.5秒に対しクーペは6.4秒と、歴代MINIのなかで最速。高速走行でも風切り音がより小さいことを確認できた。

その高速走行時には、トランクリッドに組み込まれるスポイラーが自動的に上昇し、最適な空力性能を発揮するアクティブリアスポイラーを、MINIとして初めて採用。これは80km/h以上で上昇、60km/h未満で元の位置に戻るが、ルームランプ手前にあるスイッチで任意に上げ下げすることも可能だ。この動作はルームミラーで確認することができる。

ハッチバックと比べて50mm車高が低いが、室内の頭上部がえぐられたデザインとなるため圧迫感はない。アップライトなポジションになる他のMINIモデルと異なり、自然な姿勢をとることができるため、身長172cmと平均的な日本人体型の自分だと、シートリフターを一番上に上げても天井までこぶしひとつ分の余裕があった。

走り味は基本的にMINIハッチバックと共通。どの回転からもレスポンスの良いエンジントルクや、センター付近の反応がクイックなハンドング感覚なども同じだ。

ただし、どうやらMINI自体が進化しているようで、現行MINIハッチバックの初期モデルで感じられた乗り心地の硬さ、路面アタリの強さがよりマイルドになり、コンフォート性は格段に向上している。コーナリングも、無理に突っ張って車体をロールさせずにクリアする感覚はなくなり、よりしなやかな、より自然なフィールとなっている。

そんな最新MINIクーペ。12月以降には納車が開始される予定という。(文:Motor Magazine編集部)

画像: インパネまわりのデザインはMINIハッチバックと共通だが、フロントガラスが寝かされているために座った印象はまた違ったものになる。

インパネまわりのデザインはMINIハッチバックと共通だが、フロントガラスが寝かされているために座った印象はまた違ったものになる。

MINI クーパーS クーペ 主要諸元

●全長×全幅×全高:3745×1685×1380mm 
●ホイールベース:2465mm 
●車両重量:1270kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:135kW(184ps)/5500rpm
●最大トルク:240Nm(24.5kgm)/1600-5000rpm 
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
●車両価格(税込):352万円(2011年当時)

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