グレカーレ エッセンツァは、車両価格を抑えたエントリーグレードでありながら、マセラティが大切にしてきた「素性の良さ」を一切損なっていない。正確で自然なステアリング、扱いやすく洗練された300psを発生するエンジン、そしてエレガントな佇まい。モータースポーツとグラントゥーリズモの血統を受け継ぐその走りは、まさにマセラティの本質そのものだ。(文:大谷達也/写真:永元秀和)

レスポンスではなく「分解能」の話

画像: 試乗したのは、海外のプレミアムブランドへの造詣が深いモータージャーナリストの大谷達也氏。グレカーレは日本導入前から海外で先行試乗も経験済みで、日本で何度も試乗しているが、新たなエントリーモデルの登場に合わせて再試乗。グレカーレのステアリングの正確さ、そして素性の良さを語ってくれた。

試乗したのは、海外のプレミアムブランドへの造詣が深いモータージャーナリストの大谷達也氏。グレカーレは日本導入前から海外で先行試乗も経験済みで、日本で何度も試乗しているが、新たなエントリーモデルの登場に合わせて再試乗。グレカーレのステアリングの正確さ、そして素性の良さを語ってくれた。

ステアリングの正確さとは、いわばステアリングの「分解能」のようなもので、どれだけ繊細な操作にも的確に反応してくれるかを示す。もしもステアリングが「不正確」だと、たとえば大型トラックのステアリングのようにつねにユラユラとしていて、ひとつのコーナーを曲がるにも何度もステアリングを切ったり戻したりを繰り返さないといけない。ドライバーにとっては煩わしいし、乗員にとっては身体が左右に揺すられて不快に感じられるタイプのステアリングだ。

一方、ステアリングレスポンスは、ドライバーがステアリングを切ってからどれだけ素早くクルマが曲がり始めるかを示すもの。これはレーシングカーでは必要となる性能かもしれないが、一般的なロードカーではやはりクルマのフラツキを招く一因ともなりかねないので、ステアリングレスポンスが過敏過ぎるのは考え物といえる。

マセラティは、このステアリングの正確さとステアリングレスポンスのバランスがとにかく素晴らしい。ステアリングの正確さ=分解能は優れているのでわずかな操作にも的確に反応してくれるけれど、ステアリングレスポンスの設定が絶妙なのでクルマが煩わしい動きを示すこともない。つまり、ドライバーがクルマを意のままに操るのに理想的ともいえるセッティングが施されているのだ。

こうしたステアリングの設定は、マセラティの伝統に基づいたものである。

走りとエレガンス、その両立

画像: 3000rpmあたりから盛り上がるエキゾーストサウンドは実に心地よく、まさに快音。走りの良さとあわせて、こうしたサウンドメイクのうまさもマセラティならでは。エントリーモデルと言えども官能性は極めて高い。

3000rpmあたりから盛り上がるエキゾーストサウンドは実に心地よく、まさに快音。走りの良さとあわせて、こうしたサウンドメイクのうまさもマセラティならでは。エントリーモデルと言えども官能性は極めて高い。

1914年に設立されたマセラティは、レーシングカーを作るために誕生したといっても差し支えのない自動車メーカーで、F1グランプリ黎明期の1954年にはドライバーのホワン・マヌエル・ファンジオがタイトルを勝ち取ったこともあるほどの名門である。

ただし、マセラティがユニークだったのは、F1に匹敵する性能を持つスポーツカーを作り、それを長距離ドライブ用のグラントゥーリズモに仕立て直した点にある。

つまり、F1の瞬発力と長距離ドライブ用の耐久性や快適性を備えたクルマづくりこそ、マセラティがもっとも得意とする分野なのだ。その意味からいっても、グレカーレ エッセンツァがブランドの伝統をしっかりと受け継いでいるモデルであることは間違いなかろう。

最高出力300psを発生するグレカーレ エッセンツァのエンジンにもまったく同じ躾が施されていて、アクセルペダルを思い切って踏み込めばパワフルな加速が楽しめる一方で、市街地では敏感なところがなく、実に扱いやすい。また、初期型グレカーレと異なってエンジンの回り方がより洗練されたのも嬉しいところ。

しかも、ワインディングロードで走りを堪能したときには、撮影していたカメラマンと同行した編集者から「素晴らしい快音を放っていた」との証言を得ている。モータースポーツの世界から誕生したマセラティの伝統は、ここでも正しく受け継がれているというべきだ。

その一方でスタイリングはエレガントで、どんな高級ホテルやレストランに乗り付けても間違いなく絵になるはず。そんな万能性もまた、素性の良さを示す証拠と言って良さそうだ。

マセラティ グレカーレ エッセンツァ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4845×1950×1670mm
●ホイールベース:2900mm
●車両重量:1890kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+48Vマイルドハイブリッド
●総排気量:1995cc
●最高出力:300ps/5750rpm
●最大トルク:450Nm/2000-4000rpm
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:8速AT
●タイヤサイズ:235/55R19
●車両価格(税込):990万円

画像: エレガントなスタイリングのグレカーレ エッセンツァは、高級レストランやホテルはもちろんだが、SUVとして四季折々さまざまな場所でアクティブに活躍してくれるはずだ。

エレガントなスタイリングのグレカーレ エッセンツァは、高級レストランやホテルはもちろんだが、SUVとして四季折々さまざまな場所でアクティブに活躍してくれるはずだ。

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