「次世代を支える本命燃料」は水素?それともバイオ??
「GR GT」は無性に、想像力を刺激するクルマだ。とくに新開発を謳うV8エンジン・・・トヨタが進める「内燃機関」のマルチな可能性を拡げるイメージリーダーとして位置づけられるはず。今まさに、トヨタがカーボンニュートラルな燃料として実用化を推進している水素かバイオフューエル(あるいは両方!?)への対応はマストだろう。

軽量・高剛性の実現のため、トヨタとして初めてオールアルミニウム骨格を採用。ボディパネルにはカーボンや樹脂といった様々な素材を適材適所に使用している。
まずはレース専用車となるGR GT3が、参戦カテゴリーに合わせてどちらかをチョイスできることになるのだろうか。公道を走るレーシングカーを標ぼうするGR GTの方は果たしてどちらへの対応を優先させて、開発が進められているのか。文字どおり、「夢」が膨らむ。
そこで今回は、GR GTに搭載される4L V8ツインターボが、水素燃料に対応する可能性を軽く妄想してみた。
参考にしたいのが、レースシーンと市販車とのつながりをイメージさせる「研究・開発の場」として今、もっとも注目されているスーパー耐久シリーズ(S耐)だ。より近しい「未来」、自動車のカーボンニュートラル化に関わる次世代技術を市販車に反映させること=いわゆる「社会実装」を目指したさまざまな取り組みの実証を行う「最前線」のひとつとなっている。

液体水素の採用など技術的なブレークスルーに積極的に取り組んできた水素カローラ。2025年末の富士戦では、超電導ポンプを新たに採用した仕様のデモランも実施された。
近年、トヨタはS耐の場で「共挑」の仲間たちとともに、毎シーズンに新規の技術を検証し、新たな情報を発信し続けてきた。とくに内燃機関の可能性に関する発信は、極めて濃密だ。
中でも積極的にアピールしているテクノロジーのひとつが、水素の燃焼エネルギーを動力源として利用するパワートレーンだ。トヨタはすでに「MIRAI」でFCEVを実用化しているが、「本当の楽しさ」を追求するにあたって、それだけでは満足していなかった。
内燃機関のエモーショナルな伝統を継承する「面白いエンジン」の社会実装を目指して、市販のユニットをベースに水素を燃焼させるエンジンを搭載したGRカローラを実戦投入。さまざまな試行錯誤を繰り返しながら、技術革新と課題克服の方向性を探り続けている。
S耐に参戦している水素カローラは、2021年の参戦以来、年々さまざまな技術的挑戦を続け、多くの成果を得てきた。直近、2025年の最終戦ではポンプの耐久性向上にともない最大出力での連続走行を狙った改良が施されている。さらに今後は、パッケージ効率と航続距離の向上を目指して新たに、超電導技術の導入に向けた取り組みが明らかにされた。「本格的に戦い抜く」ための性能向上とともに、市販モデルにつながる実用性の追求についても妥協はしていない。

従来は外付けだったモーターとポンプユニットを、液体水素に満たされた燃料タンク内に配置。およそ1.3倍以上というタンク容量拡大が期待できるだけでなく、-253℃という極低温に保たれたタンク内の環境によって超電導性能が最適に発揮されるという。課題としては、燃料が減った時や大きな横がかかった時に超電導モーターが露出、温度管理が難しくなる点にある。実戦を通して、そうした課題も克服されていくはずだ。


