シリーズ初となるハイブリッドモデルとなった新型911 カレラGTS。その公道試乗の機会がようやく訪れた。ドイツ車として、ポルシェとして、911として革新的な技術を織り込んだ同車の走りはどのような仕上がりとなったのだろうか。(Motor Magazine2025年8月号より。文:渡辺敏史/写真:永元秀和)

選んでおいて間違いないと思わせるGTSの立ち位置

911では997型後期から設定されてきたGTSは、従来モデルライフの末期に登場し、カレラS系の高性能エンジンを搭載、PASMやスポーツクロノなどの主要オプションをパッケージした、とりあえずこれを選んでおけば間違いないというお寿司屋さんの「おまかせ」的なグレードだった。

今回、992型後期の口火を切るかたちで設定されたGTSもその立ち位置を踏襲、新たにリアアクスルステアリングも標準化されている。オプションの選択肢として走ることにまつわるものはPCCBやフロントリフターくらいだが、一方でコスメティックにも事細かに値札が下げられているあたりがポルシェの商売上手なところだ。

画像: 80万2000円のオプションとなるフルバケットシートには「GTS」のエンボス加工が施されている。

80万2000円のオプションとなるフルバケットシートには「GTS」のエンボス加工が施されている。

GTSはクーペ・カブリオレ・タルガとすべてのボディバリエーションに設定されたおり、クーペとカブリオレではRRの選択も可能だ。取材車はそのRRのクーペなわけだが、興味深いというかちょっと身構えてしまうのが、541psという強力なシステム出力を果たして後輪だけで受け止めきれるのかという点だ。

走り出しのフィーリングは大トルクに任せた軽やかなものを想像していたがむしろ逆で、ドシッとお尻が据わったいかにも昔日からの911的なものを感じさせる。イニシャルのトルクもクルマを押し出すに十分なもので、タウンライドはフラット6が2000rpmも回れば十分事足りるほどで、ここに駆動モーターが著しく寄与している兆候はない。

そこから緩やかな加速を試みると、モーターのアシストが加わっていることがはっきりとわかる。例えが適切か否かはさておき、それは電動アシスト自転車で坂道に差し掛かった時のような感触だろうか。内燃機ならば賢いPDKがササッとシフトダウンして補おうとする推進力を、ギアを変えずにモーターでググッと押していく、そんな感触に近い。

そういう副次的な効果もありながら、やはりT-ハイブリッドの本質はアクティブなドライビングに現れる。フル加速に間髪入れず応答するそのレスポンスの良さは駆動モーターに加えてターボラグを埋める電気タービンによるところが大きい。

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