シリーズ初となるハイブリッドモデルとなった新型911 カレラGTS。その公道試乗の機会がようやく訪れた。ドイツ車として、ポルシェとして、911として革新的な技術を織り込んだ同車の走りはどのような仕上がりとなったのだろうか。(Motor Magazine2025年8月号より。文:渡辺敏史/写真:永元秀和)

モーターが時に緩衝材の役割を果たしている実感

全開加速では変速時の回転数のドロップによるGの谷を埋めるように駆動モーターが機能し、段付きを感じさせない直線的な加速度を維持し続ける。高回転域を担うのはエンジンのアウトプットのみとなるが、モーターの加勢が終わったことはまったく感じさせない。慣性のラグを補填する電動タービンだから実現した低中回転域の図太いトルクと、大径シングルターボならではのモリモリと盛り上がる高回転域のビッグパワーとの仲を、駆動モーターが時には緩衝材のような役割も果たしながらうまく取り持っている。

画像: 可変リアスポイラーを搭載するのは従来と同様。スポイラー裏には作動中でも後続車に認識できるようハイマウントストップランプが備わる。

可変リアスポイラーを搭載するのは従来と同様。スポイラー裏には作動中でも後続車に認識できるようハイマウントストップランプが備わる。

RRのカレラGTSでさえ0→100km/h加速は3秒フラット、最高速は312km/hというから、その速さが余すことなく存分に引き出せる場所といえば富士スピードウェイのような場所ということになるだろうか。日本の山道くらいでは踏むことさえままならず・・・かと思いきや、意外や不安感なく楽しめてしまうのは、どこからでも間髪入れずクルマを押し出すトルクバンドの広さに加えて、回頭性のみならずスタビリティにも寄与するリアステアの効果が大きいのだろう。

T-ハイブリッドによって作り込まれたそのフィーリングは、911の小さなエンジンベイに収まるものから生み出されているとはにわかに信じ難い。今までさまざまな高性能バージョンの911に乗る機会があったが、そのどれにも似ていない不思議な感触だ。電動化に伴って削がれざるを得ないと思われていた動的パフォーマンスが、むしろ見事なまでに、そしてこれまでとは異なる質感をもって新たにデザインされている。

ポルシェエンジニアリングの可能性の扉をまたひとつ開けて見せてくれた、新しいGTSシリーズはそんな1台だと思う。

ポルシェ 911カレラ GTS 主要諸元

●全長×全幅×全高:4553×1852×1296mm
●ホイールベース:2450mm
●車両重量:1670kg
●エンジン:対6 DOHCターボ+モーター
●総排気量:3591cc
●最高出力:357kW(485ps)/6500rpm
●最大トルク:570Nm(58.1kgm)/2000-5500rpm
●モーター最高出力:41kW(56ps)
●モーター最大トルク:150Nm(16.2kgm)
●システム最高出力:398kW(541ps)/6500rpm
●システム最大トルク:610Nm(62.2kgm)/1950-6000rpm
●トランスミッション:8速DCT
●駆動方式:RR
●燃料・タンク容量:プレミアム・63L
●WLTPモード燃費:9.0-9.5km/L
●タイヤサイズ:前245/35R20、後315/30R21
●車両価格(税込):2379万円

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