旧車コミュニティ「Vintage Club by KINTO」が、各地で実施し好評を博している「旧車キャラバン」。2025年10月から愛知県長久手市のトヨタ博物館で実施されると聞いて、さっそく申し込んでみた。お目当ては2002年式「A80スープラ」。A90の最終型RZを借り出して、貴重な新旧乗り比べを愉しんだ。(写真:永元秀和<90>/神原 久<80>)

90で行って80に乗って再び90で帰ってきたら、見えてきたもの

さて、そんな良くできた90から乗り換えた80の印象は果たしていかがなものかも・・・実は当初、もしかするとレンタルの2時間が苦行になってしまうのではないかと内心、不安に思っていたのだけれど、みごとに杞憂だった。

画像: 典型的なロングノーズ×ショートデッキスタイル。発売当時、純正のダンパーはビルシュタイン製だったが、レンタル車両はローダウンされている様子がうかがわれた。

典型的なロングノーズ×ショートデッキスタイル。発売当時、純正のダンパーはビルシュタイン製だったが、レンタル車両はローダウンされている様子がうかがわれた。

画像: 走行距離が15万8000kmを超えているだけに、80の内装はそれなりに「経年」を感じさせていた。

走行距離が15万8000kmを超えているだけに、80の内装はそれなりに「経年」を感じさせていた。

レンタル車両はフルノーマルではなく、ホイールも足まわりも少しばかりいじられているようだった(詳細は不明)。そこを割り引いても、ボディまわりの剛性感については、いかんせん歴史を感じさせることは確か。とくに荒れた路面では少々ラフな乗り味を実感する。重くてやや奥めでつながるクラッチとか、それなりにストローク感のあるシフトなど、最新型から乗り換えればいろいろと緩い。

けれど、そうした操作系の緩さが走っているうちに、じんわりと体になじんでいくのがなんとも心地よい。なにより芯となる部分のダイレクト感はしっかり通っているので、「ツボ」に合わせてやればスムーズにシフトチェンジできる。加減速の部分で粗さをうまく御することができれば、当然のようにコーナリングの安定感も増す。「一体感」とまでは言わないけれど、そこそこアップテンポなリズムで走らせることは可能だ。

画像: トヨタ製直6DOHCエンジンシリーズ「JZ系」の最強ユニットとして誕生した2JZ-GTEは、高いパフォーマンスだけでなくグランドツーリングも得意としていた。最高出力は当時の自主規制上限である280psを発生する。

トヨタ製直6DOHCエンジンシリーズ「JZ系」の最強ユニットとして誕生した2JZ-GTEは、高いパフォーマンスだけでなくグランドツーリングも得意としていた。最高出力は当時の自主規制上限である280psを発生する。

なにより2JZ-GTEが抜群に面白い。90で長時間移動した直後の乗り換えでは、B58エンジンのシルキー感に慣れてしまっていたこともあって、トヨタ純正直6DOHC(TWO WAY)ツインターボのメカニカルなフリクションもろ出しの吹け上がり感には胸躍る。

ラグこそあまり感じられないものの、いかにもターボで過給してます!と言わんばかりの無理くりな力感は、かえって清々しいほどにアナログだ。全般的にトルクフルだがいわゆる「美味しい領域」がちゃんとあって、そこに合わせたシフトチェンジを狙って走り続けていると、2時間なんてあっという間に過ぎていく。東京までお持ち帰りしていいよ、とお許しが出たなら「喜んで」。

もっとも・・・自分でも気づかないほど、80の運転はそうとうに緊張感をともなうものだったようだ。トヨタ博物館で名残を惜しみつつ返却してから再び90で走り出すと、90の濃密な優しさと洗練感に、心底ほっこりさせられた。

画像: 「最終型RZ」のフットワークに関わる改良点は数多い。ブレース、各部マウント、アーム類、スタビライザーなど、まさに「基本」を磨いている。

「最終型RZ」のフットワークに関わる改良点は数多い。ブレース、各部マウント、アーム類、スタビライザーなど、まさに「基本」を磨いている。

あらゆる操作系の精度感の高さが、ドライバーの感性に寄り添う感覚と言ったらいいだろうか。旧き佳き時代の躍動感を通して、改めて「進化すること」の価値を実感することができたような気がする。スタイルにこそ共通する「雰囲気」を漂わせてはいるけれど、80と90は単なる性能差以上に、本質が「別物」であるような気がしたのだった。

そういえば、Motor Magazineの編集長がヴィンテージクラブで、初代セルシオを借りようと考えているらしい。彼の愛車はプログレだが、乗り比べるのはそうとう楽しそうだ。トヨタ製ラグジュアリーサルーンの「血筋」は、果たしてどんな進化を遂げているのだろうか。

ちなみに80スープラのみ、トヨタ博物館でのレンタルサービスが2026年4月3日まで継続されている。すでに予約はほぼ埋まっているが、この原稿を書いている1月13日現在ではごく一部の日程で空きがあるようだ。追加されたプログラムではひと枠4時間で、1万6000円のコースも設定されている。都合があったらまた逢いに行こうかなぁ、などと本気で考える。

画像: 80の試乗は、愛知県長久手市のトヨタ博物館から猿投グリーンロードを経て、紅葉シーズンまっさかりの香嵐渓へと向かってみた・・・ものの、日暮れ前からすでに混み気味だったために途中で断念。単独行だったため、走りのカットを撮影できなかったのは残念。

80の試乗は、愛知県長久手市のトヨタ博物館から猿投グリーンロードを経て、紅葉シーズンまっさかりの香嵐渓へと向かってみた・・・ものの、日暮れ前からすでに混み気味だったために途中で断念。単独行だったため、走りのカットを撮影できなかったのは残念。

トヨタ スープラRZ(2025年式) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4380×1865×1295mm
●ホイールベース:2470mm
●車両重量:1520kg
●エンジン:直6 DOHCターボ
●総排気量:2997cc
●最高出力:285kW(387ps)/5800rpm
●最大トルク:500Nm/1800-5000rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・52L
●WLTCモード燃費:11.1km/L
●タイヤサイズ:前255/35R19、後275/35R19
●車両価格(税込):800万円

トヨタ スープラ RZ(2002年式・ノーマル) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4520×1810×1275mm
●ホイールベース:2550mm
●車両重量:1510kg
●エンジン:直6 DOHCツインターボ
●総排気量:2997cc
●最高出力:206kW(280ps)/5600rpm
●最大トルク:451Nm/3600rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●10・15モード燃費:9.0km/L
●タイヤサイズ:前235/45R17、後255/40R17
●車両価格(税込):448万円(1997年当時)

This article is a sponsored article by
''.