より上質になった新型M5手に負えない感は皆無
新型M5の走りの結論を先に言えば、街中からアウトバーン、カントリーロードまで、そのドライブフィールは一貫して上質だった。歴代モデルの良き伝統を受け継ぎつつ、現代においてスーパーカー級のパフォーマンスを有する凄まじいセダン&ワゴンである。
ミュンヘン空港近く。BMWのテストカー施設が試乗会場だ。歴代モデルの試乗を済ませ、まずはセダンに乗る。助手席と後席に仲間を乗せて走り出し、最寄りのアウトバーン入り口へと向かった。
整備の行き届いた道と少々荒れた舗装路を通過したが、早くも同乗者から驚きの声が上がる。乗り心地が良いらしい。なるほど運転席も悪くない。ソリッド感を残しつつ、フラットに走る割には快適だ。実に洗練されている。

セダンタイプのM5はすでに日本発表済み。日本での価格は先代M5と据え置きの1998万円という驚きのプライスで登場した。
最大トルク1000Nmのモンスター。とはいえ手に負えない感覚は皆無。それどころか走り出した途端、初めてのクルマとは思えないほど手も身体も馴染んでいく。1000Nmが制御下にある自信が芽生えた。徐々にペースアップし、アウトバーンで250km/h超まで回し、カントリーロードで一生懸命になって踏んで曲げても、御している感覚と扱いやすい感覚に変わりはない。逆に言うと、スリルはない。もっともその走りに日常域からスリルを期待するようなペッタンコなスポーツカーでもないわけだが。
アウトバーンを降りた。カントリーロードではハンドリングの正確さが際立つ。ステアリングホイールへのわずかな入力を素早く察知したクルマが曲がる準備をしてくれているかのように心地良く曲がる。その動きは速度を上げても極々自然なものだった。
プリプロダクションのM5ツーリングもテストした。空荷でも空気を運ぶ感覚がまるでないから、そのドライブフィールはほとんどセダンと同じ。乗り心地からクルージング性、ハンドリングの精緻な自由さまで、前を向いてドライブしている限りツーリングであることを忘れてしまう。しかもツーリングの方が「かっこいい」。
帰り道、もう一度1000Nmの中間加速をアウトバーンで楽しんでみた。280km/hをあっという間に超えていく間のエンジンフィールが素晴らしい。精緻な回転に心も躍る。日本では確かに必要ない高性能だけれども、その高みが日常域の「心地良い余裕」を与えてくれるのだとも思った。

トレッド幅はベース比で前10mm、後15mm拡張されるためワイド感が増す。両側2本出しマフラーは存在感たっぷり。
BMW M5 ツーリング 主要諸元
●全長×全幅×全高:5096×1970×1516mm
●ホイールベース:3006mm
●車両重量:2550kg
●エンジン:V8 DOHCツインターボ+モーター
●総排気量:4395cc
●最高出力:430kW(585ps)/5600-6500rpm
●最大トルク:750Nm(76.5kgm)/1800-5400rpm
●モーター最高出力:145kW(197ps)/6000rpm
●モーター最大トルク:280Nm(28.6kgm)/1000-5000rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●WLTPモード燃費:9.2km/L
●タイヤサイズ:前285/40R20、後295/35R21



