上級仕様車のジェミニZZ-SE ハンドリング バイ ロータスも
それまでのスポーツバージョンであるイルムシャーに搭載されていたエンジンは、1.5L直4 SOHCインタークーラーターボだったが、当時の国産スポーティエンジンはトヨタの4A-GEU型に代表されるように、自然吸気直4 DOHC 16バルブエンジンが主流だった。いすゞ自動車も同様の構造である4XE1型を新開発。最高出力135ps/7200rpmの高出力と最大トルク14.3kgm/5600rpmというパワースペックが与えられた。
エクステリアを中心に見ていくと、基本的には一般普及型のJT150ジェミニと大きな変更点はない。ただボディカラーは、深みのあるブリティッシュグリーンをテーマカラーとし、トルーパーブルー、エボニーブラック、ピュアホワイトと精悍さと落ち着きを重視した。ラジエーターグリルは艶消しタイプとし、ゴールド色のZZ専用シンボルマークを着けたことが目立つ。

エンジンを1.6L直4DOHCエンジンに換装し、足回りを名門ロータスに任せたジェミニZZ。3ドアハッチ(写真)と4ドアセダンの設定があった。
エアロパーツもイルムシャーと比較すると大人し目にとどめている。機能性重視で、フロントバンパー下にチンスポイラー、リアにボディカラーキードしたスポイラーを装着し、空気抵抗の軽減と高速時の走行安定性の向上を図った。結果としてヨーロピアンテイストが強い印象になっているのは先代となるPF60ジェミニZZシリーズと共通するところだ。
タイヤは185/60R14サイズのポテンザRE88を採用。ホイールは落ち着きのあるデザインの純正アルミホイールを標準としたが、発売した1988年5月よりBBS製アルミホイールをオプション設定している。エキゾーストにはデュアルパイプを採用し、スポーティ感覚を表現した。ウインドーにはブロンズガラスを使用し、さらにフロントガラスには上部ブロンズボカシ付を採用し視認性、居住性の向上を図った。

その走りは硬派というよりは上質さが際立つものだった。イルムシャーは若者向け、ロータスが大人の走りという棲み分けがなされた。
ハンドリング バイ ロータスと名付けられたように、ロータス社によるチューニングの証しとして、質感のある「handling by LOTUS」バッジを左右フロントフェンダーとリアに装着した。このバッジはロータスの価値をよく知るマニアックな層には大いに評価された。
さらに少し遅れて1988年3月28日より上級仕様車「ジェミニZZ-SE ハンドリング バイ ロータス」を発売している。同車は、「ジェミニZZ ハンドリング バイ ロータス」をベースに、世界の一流品を装着したハイバリュー・トップバージョンと位置づけられた。具体的な装備としては、高品質な西独BBS社製鍛造アルミホイールを標準仕様とし、米国BOSE社製リアスピーカーを設定。さらにエアコン、パワーウインドウ、パワードアロックを標準装備し、ボディサイドに特製SEデカールを付け差別化を図った。スポーティであるとともに、小型車として十分な豪華仕様としたわけだ。

外連味のないフロントまわり。直線基調ですっきりとまとめられている。バンパーのゴールドのストライプも全体を引き締める。
翌1989年2月には、ジェミニの内外装の一部変更が行われている。車幅灯(ヘッドランプ外側)をオレンジ色から白色にするとともに、サイドフラッシャーをフロントフェンダーに設置し、さらにワイド感を高めるなどの変更がハンドリング バイ ロータスを含むジェミニ全体に対して施された。また4ドア車ではリアのナンバープレートをバンパー内に移動し、リアエンドパネルをボディと同色にし、フラッシュサーフェス感も増している。
ZZ ハンドリング バイ ロータスの変更点では、新色ボディカラーとしてブリティッシュグリーンマイカを設定。また従来はSE以外はオプションだった、軽量、高精度のBBSアルミホイールを標準装備として、エクステリアと走行性能の向上を図っている。

ハッチバックの使い勝手の良さはそのまま。イメージカラーはロータスの本拠地である英国のブリティッシュグリーンだ。
ZZ ハンドリング バイ ロータスは以後、ジェミニの事実上のトップグレードとして人気車となった。そして、1990年3月に3代目のJT151/191にバトンを引き継ぐ形で販売を終了するが、FFジェミニといえばこのZZ ハンドリング バイ ロータスを真っ先に思い出す自動車ファンも多く、国産車が輝いていた1980年代を象徴するモデルとなった。まさにスポーツカーを信条とするいすゞ自動車を代表する1台と言えるだろう。
いすゞ自動車 ジェミニZZ 4ドアセダン ハンドリング バイ ロータス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4070×1615×1370mm
●ホイールベース:2400mm
●車両重量:960kg
●エンジン:直列4気筒DOHC16バルブ
●排気量:1588cc
●最高出力:135ps/7200rpm(ネット)
●最大トルク:14.3kgm/5600rpm(ネット)
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:FF
●燃費・10モード走行(運輸省検査値)13.0km/h
●車両価格(当時):161万円



