SUBARUの「フォレスター」が、独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA/ナスバ)の「2025年度 自動車安全性能 ファイブスター大賞」を獲得した。2026年5月28日に表彰式が行われたので、その模様のレポートとともに、SUBARUの安全への取り組みについて紹介していこう。

【二次災害を防ぐ】燃料漏れ・火災への徹底したリスク管理

また、人員の直接的な保護と並んで重要なのが、「火災の発生要因を作らないこと」だという。

ガソリン車やディーゼル車などの内燃機関車は燃料タンクを搭載し、エンジンとの間をホース(燃料配管)で繋いでいる。衝突の衝撃でこの経路が破損して燃料が漏れ出し、そこに損傷した電装系のショートによる火花(スパーク)が重なると、一気に引火して車両火災につながる危険性がある。

そのためSUBARUではまず、燃料配管が損傷を受けにくいように配置するとともに、万が一燃料系が破損しても燃料の漏れ出しを最小限に食い止め、引火リスクを極限までゼロに近づける工夫を施している。

画像: フロントドアとフロントフェンダーの境界を境に、衝撃の処理の仕方が異なることがひと目でわかる。

フロントドアとフロントフェンダーの境界を境に、衝撃の処理の仕方が異なることがひと目でわかる。

この安全思想は、現在高い評価を得ている次世代ハイブリッド「S:HEV」や、今後増えていくであろう「BEV(電気自動車)」にも一貫して適用されている。これらは大型で高電圧を発生させ、衝撃による破裂やショートの危険性を内在する駆動用バッテリーや制御システムを搭載しているため、より厳格な防護構造が求められる。

【交通弱者も守る】歩行者&サイクリスト保護エアバッグのこだわり

さらに、SUBARU車には「歩行者保護エアバッグ」を独自開発して標準装備していることも大きなトピックだ。今回は、さらに自転車乗員への保護まで範囲を広げた新型が実装されている点もアピールされていた。

画像: 歩行者に加えて、サイクリスト(自転車)の頭部も保護できるように進化したエアバッグ。

歩行者に加えて、サイクリスト(自転車)の頭部も保護できるように進化したエアバッグ。

簡単に解説すると、歩行者とサイクリストでは衝突時に衝突する頭部の位置(高さ)が異なる。自転車に乗っている人は高い位置から倒れ込むため、フロントガラス両脇の硬いAピラーに頭部を強打する確率が高い。新型エアバッグは、そのAピラーまでをカバーする形状に進化している。

画像: 硬いAピラーを覆うように展開しているのがわかる。

硬いAピラーを覆うように展開しているのがわかる。

ちなみに、この歩行者&サイクリスト保護エアバッグは、フロントバンパー内部に圧力センサーを備えている。しかし、衝突時にセンサー周辺のバンパーが適度にしなって衝撃がセンサーまで到達しなければ作動しない。そのため、デザインの美しさやランプ類の配置などの要件とセンサーの作動性を両立させるべく、開発チームとデザイン部との間で何度も協議が繰り返され、最終的な造形・構造に仕上げられたという。安全性をアイデンティティとするSUBARUにとって、絶対に譲れない部分だろう。

積み重ねてきた安全の実績と、SUBARUの使命

今回の催しでは、SUBARUの保有する施設にて現行型フォレスター(ターボモデル)による衝突実験が実演されたが、NASVAによる2025年度の安全評価試験は茨城県筑波にあるJARI(日本自動車研究所)の「自動運転評価拠点 Jtown(筑波)」と「城里テストセンター」で、規定に基づき厳格に行われている。

ちなみに試験用の車両は3台用意され、フルラップ(正面)衝突、オフセット衝突、側面衝突、そして歩行者へのダメージを見る脚部と頭部の保護性能試験と、複数の衝突試験に分担して用いられるとのこと。

画像: こちらは実際の評価試験(フルラップ)を受けた車両。フロント全体が潰れて障礙基礎吸収していることがわかる。

こちらは実際の評価試験(フルラップ)を受けた車両。フロント全体が潰れて障礙基礎吸収していることがわかる。

2025年度のJNCAPアセスメントでは4車種※が評価を受け、フォレスターは「予防安全性能」と「衝突安全性能」の双方の項目で最高ランクである「Aランク」を獲得。さらに事故時の「事故自動緊急通報装置」の搭載要件を満たしたことで、「自動車安全性能 ファイブスター賞」を受賞。その上で、2025年度の全評価対象車種の中で最高評価となる「自動車安全性能 ファイブスター大賞」の栄冠に輝いた。

※評価対象は販売数上位モデルから選定。4台は少ないように思えるが、各メーカーのモデルチェンジのサイクルなどが影響する。2023年度は多く、16台が対象となっていた。

画像: こちらも実際の評価試験(新オフセット)を受けたフォレスター。

こちらも実際の評価試験(新オフセット)を受けたフォレスター。

ちなみにSUBARUの受賞歴を振り返ると、2016年度にインプレッサが当時の「衝突安全性能評価大賞」を受賞して以来、2018年度、2020年度、2021年度、2023年度と立て続けに大賞を受賞。一歩一歩積み重ねてきた安全開発の成果を証明し続けている。

SUBARUは今後も、自車だけでなく交通社会全体の安全性を向上させるため、他車への加害性低減や歩行者・自転車といった交通弱者の保護など、「相手を守る性能」も追求していく構えだ。

「ひとりでも多くのお客様に安全なクルマに乗っていただくこと」をなによりの使命とし、アイサイトや歩行者保護エアバッグ、強固な衝突安全ボディといった高度な安全装備を全車標準化しながら、ユーザーがアプローチしやすい「手の届きやすい価格」との両立を図っていくという。

今回、過酷な衝突試験の様子を間近で体感したことで、SUBARU車が持つ本物の安全性能とはなにかを再認識させられた。SUBARUが掲げる「死亡交通事故ゼロ」という目標が、単なるスローガンではなく、確固たる技術に裏付けられた重みのある挑戦であることを強く実感した。

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