アルミニウムボディを採用し車名どおり「軽量化」を実現
あらためて、新型SLクラスの概要を報告しておこう。
300SLに始まる「スーパーライト」の歴史は、このR231で第6世代を迎えた。最大のテーマが、車名のとおり「軽量化」であったということは、自動車史のアイロニー以外なにものでもない。ほかのすべての乗用車と同様に、かのSLクラスをしても、マーケットの要求に応え続けた結果、ダイエットを余儀なくされる事態に陥っていた、というわけなのだ。まるで、便利さと引き換えにメタボリックになり、余暇をせっせと運動に費やす現代人のようだが、軽量化そのものは、いずれにせよ、ウエルカムである。
新型SLクラスの白眉が、(ほぼ)オールアルミニウムボディ構造にあることは間違いない。その構造解説だけで紙幅を埋めることもできるだろう。メルセデスによれば、同じ設計をスチールに置き換えた場合よりもボディ骨格のみで約110kg軽くなったというが、そんなことよりも、実際にSL500で従来比125kg、SL350で140kg軽く仕上がったという点に注目したい。
最新の高効率パワートレーンを積み、パワー&トルクスペックを従来の同格モデルより上げたうえ、軽くなったのだから、全体のパフォーマンス向上への効果は絶大だ。
アルミニウムボディ構造の効能は、それだけに留まらない。クラスナンバーワンのNVH性能やパッシブセーフティ性能、そして何よりもスポーツカーらしいアジリティ性能にも、大きく寄与するものだ。アルミボディと同様に、最新の3Dボディエンジニアリングによって生み出されたスタイリングは、最良のエアロダイナミクス性能を実現した。
ボディ構造のみならず、車体パッケージ全体にも見どころがたくさん。さらには、世界初のフロントバスシステムやワイパーシステムなど「小ワザ」も各所に利いていて・・・。
とまれ、尽きない車両解説はこれくらいにして、マラガでテストした新型SLの試乗リポートという本題に入ろう。残念ながら350の試乗車はなく、2種用意された車両はいずれも4.7L V8直噴ツインターボ+アイドリングストップ付き7速ATの500で、アドバンスポーツ18インチを履くスタンダードシャシ(2段階ダンピング調整付き)と、スポーツコンタクト19インチを履くオプションのABC(アクティブボディコントロール)付きモデルだった。

ボディがひとまわり大きくなったこともあり、キャビンは全体的に広くなり、とくに乗員のショルダーあたりには余裕ができた。
まずは、スタンダートモデルに乗り込む。ボディサイズがひと回り大きくなり、室内の、とくにショルダーまわりや肘まわりに余裕ができたというが、タイト感はSLS並みで、しかもコクピットのデザインに「凝縮感」があるから、それほどデカいクルマに乗っているという気がしない。まさにロードスター感覚である。
各所のフィニッシュもクオリティが高い。まるでチープなところが見当たらないのだ。とくにセンターパッドまで仕上げ質感の高い小径のステアリングホイールや、太さの違うパイピングとステッチの利いたレザートリム、さらにはAMGモデルやSLSのような小さなレバースタイルとなったシフトベースあたりが、ラグジュアリーかつスポーティな雰囲気で、ドライバーの気分を大いに盛り上げてくれる。樹脂にシルバーメッキをペイントしたパーツの表面クオリティも非常に高い。
ひとつだけ気になったのは、シフトレバーベースにあるスイッチ類が、デザインこそ洒落ていて見栄えがいいものの、小ぶり過ぎて使いづらい点だ。とくに、ダンピングの切換などを走行中、コマメに使い分けたいという人で、指の太い方(筆者がそうだったのだが)は、イラッとさせられる場面が多くなるだろう。指の太さとスイッチの小ささの問題なので、こればかりはさすがに慣れろという方がムリだろうと思う。見栄えがいいので、半分、許せるが。
同じ見栄えでも、オーディオのスイッチ類は何やら古くさいままで、妙に浮き上がっていたのも気になる。
