2012年1月、3代目となるポルシェ ボクスター(981型)が世界初公開されて大きな注目を集めた。その進化とはどういうものだったのか。今回は2012年3月に南仏サントロペで開催された国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2012年5月号より)

3.4LのボクスターSはさらに奥行きのある走り

高速道路を下りてワインディングロードへと入っていく。このあたりの道幅はあまり広くないので、飛ばそうという気にはならない。と言うか、飛ばさなくても気持ちいいので、飛ばす必要がない。そして、ゆったりとワインディングロードを走っていると感じるのは、俊敏性と直進安定性のバランスの良さだ。ホイールベース延長の着地点がいい、ということだろう。また、コーナーを回るときは、ミッドシップらしくバランスよく旋回しつつリアタイヤへ確かなトラクションがかかることが、ハンドルから手に、そしてシートから体に伝わってきて楽しい。

そして、道幅が広くなるとともに、少し速度を上げていくと、ボクスターはさらに活き活きとしてくるのだが、そこで感じるのは重心の低さだ。全高は13mm下がっているが、重心は7mm下がったという。わずかな値のように思われるかも知れないが、この重心の低下によりコーナリングの安定感は確実に増しているはずだ。

また、ステアリングフィールについても報告しておかなくてはならない。この981型から燃費向上のために電動パワーステアリングを採用しているのだが、仕上がりはかなりいい。路面からの情報を確実にステアリングホイールを握った手に伝えてくる。路面と手の間にモーターで雑情報を入れ込んでしまうことはなく、実にピュアなフィーリングだ。

さらにスポーツクロノパッケージを装着していたので、スポーツプラスモードを試してみたが、相変わらずこれの効果は素晴らしい。「戦闘モード突入」といった感じで、あらゆる部分でクルマの性格がワンランク、獰猛になる。しかし、基本的な性格は変わるわけではないので違和感なく、ドライバーはすぐにそのモードに馴染める。また、このモデルからスポーツクロノパッケージにはダイナミックトランスミッションマウントが組み合わされることになった。エンジン/トランスミッションユニットはボディ3カ所で固定されているが、そのマウントの減衰特性を走行条件によって変化させるものだ。その結果、通常走行時には快適性を確保しながら、スポーツ走行時にはパワーユニットとボディの間に生じる振動を抑え、クルマを安定させることができる。実際の効果はサーキット走行でもすればよくわかるのだろうが、一般路を走っても、その片鱗は感じることができた。

画像: こちらはボクスターS。パワー&トルクに余裕があり、それが奥行きのある走りを生んでいる。スポーツ走行時ではなく、通常走行時でもその奥行きが感じられる。

こちらはボクスターS。パワー&トルクに余裕があり、それが奥行きのある走りを生んでいる。スポーツ走行時ではなく、通常走行時でもその奥行きが感じられる。

ボクスターの試乗を終え、次に315psの3.4Lエンジンを搭載するボクスターSのハンドルを握った。これもオプションのスポーツクロノパッケージ、PASM装着車で、トランスミッションは7速PDKだ。誌面が尽きてきてしまったが、正直な感想は「知らなければよかった」というものだ。ボクスターも十二分に魅力的でよいのだが、やはりプラス50ps/80Nmの効果は大きい。ボクスターSにはあらゆる面で余裕があり、それがより高いレベルの快適性を生み、さらにより深みのあるスポーツ性を実現している。

ボクスターとボクスターS、期待どおりの出来映えだった。日本における価格発表はまもなく、デリバリー開始は夏になるそうだ。国内でまた、じっくりと乗ってみたい。(文:Motor Magazine編集部)

ポルシェ ボクスター 主要諸元

●全長×全幅×全高:4374×1801×1282mm
●ホイールベース:2475mm
●車両重量:1415kg
●エンジン:対6DOHC
●排気量:2706cc
●最高出力:195kW(256ps)/6700rpm
●最大トルク:280Nm/4500-6500rpm
●トランスミッション:7速DCT(PDK)
●駆動方式:MR
●最高速:262km/h
●0→100km/h加速:5.7秒
※EU準拠

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