1984年、スクーデリア・フェラーリ栄光のマシン「126C4」の公式キッズカーが登場したのをご存じでしょうか。50ccエンジンを積み、カーナンバー27やAgipロゴまで再現した本気すぎる逸品は、いまやオークションで300万円超え。大人も唸る完成度と、富裕層コレクターを熱狂させる雲の上の世界に迫ってみましょう。

文: 石橋 寛/写真: RM Sotherbys
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BMWやホンダと並んだ最強クラスのパワーユニットを搭載

スクーデリア・フェラーリの熱狂的なファン、ティフォシなら126C4は生涯忘れられないマシンに違いないでしょう。なにしろ、エンツォ・フェラーリお気に入りのF1パイロット、ミケーレ・アルボレートが自身初のポールポジションを獲ったばかりか、ポール・トゥ・ウィンまで決めたのです。となると、ティフォシ界隈では「ウチの子もミケーレにあやかりたい」と考えるのも必定。そんなご家庭のために、126C4がキッズカーとして登場しています。

画像: イタリアの専門店による126C4キッズカー。実車と同じく1984年に発売し、今では200万円はするコレクターズアイテム。

イタリアの専門店による126C4キッズカー。実車と同じく1984年に発売し、今では200万円はするコレクターズアイテム。

まずは、126C4の実車から振り返ってみましょう。フェラーリは1983年、126C3を擁して2年連続のコンストラクターズタイトルを獲得しました。126C4は、その王座を維持しつつ、1979年のジョディー・シェクター以来となるドライバーズタイトル奪還を目指して1984シーズンに投入されました。設計は引き続き、名手ハーベイ・ポスルスウェイトが担当。

画像: アルボレートがドライブする126C4。ポール奪取から優勝を遂げたベルギーGPのワンシーン。

アルボレートがドライブする126C4。ポール奪取から優勝を遂げたベルギーGPのワンシーン。

エンジンは1.5リッターV 6ツインターボ(Tipo 031)を搭載。シリンダーヘッドの再設計やクランクケースの改良など、C3から大幅な見直しが行われました。タービンは126CK(126シリーズの初代モデル)からKKKが選ばれ、予選仕様では約850馬力を発揮し、BMWやホンダと並び当時最強クラスのパワーを発揮したとされています。

“126C4”の意味、ファンならご存じ?

シャシーと空力については、カーボンファイバーとケブラーの複合素材によるモノコックを採用。しかし、この年のライバルであったマクラーレンTAGポルシェ(MP4/2)がジョン・バーナードによる「コークボトル・ライン」の空力デザインを導入したのに対し、126C4はダウンフォース不足に苦しみました。シーズン後半には、サイドポンツーンを延長して空力を改善した改修型(126C4-M2など)が投入されたものの、根本的な解決には至らず、前述のアルボレートによるゾルダーでの1勝のみに終わっています。

ちなみに、フェラーリの伝統的な命名規則において、「126C4」という車名にはマシンの心臓部であるエンジンの仕様と、シリーズの歴史が詰め込まれています。まず、126はエンジン仕様で、12=Vバンク120度、下一桁の6はシリンダー数が6気筒であることを示します。Cは過給機を表すイタリア語「Compressore」の頭文字であり、最後の4は126シリーズの4代目マシンを意味しています。つまり、126C4とは、「120度V6ターボエンジンを搭載した、126Cシリーズの4年目の進化型」となるわけです。

頑張れば大人でも乗れる……かも……?

さて、チビッ子ティフォシ向けマシンは、実車と同じく1984年にイタリアのS.T.M社から発売されたもの。こちら、どうやら産業用ギヤボックス等で有名なイタリアの「STMSpA」関連会社のようです。もちろん、ミケーレ・アルボレートのカーナンバー「27」や、当時チームをスポンサードしていたAgip、Goodyearなどのロゴまで忠実に再現しているのはスクーデリア公認の証し。

画像: 50ccほどのエンジンを搭載し、2ペダルで走行可能。大人でも小柄な方ならコクピットに入るかもしれません。

50ccほどのエンジンを搭載し、2ペダルで走行可能。大人でも小柄な方ならコクピットに入るかもしれません。

画像: カーナンバー27は、エンツォお気に入りのイタリア人パイロット、ミケーレ・アルボレートのマシンをオマージュ。

カーナンバー27は、エンツォお気に入りのイタリア人パイロット、ミケーレ・アルボレートのマシンをオマージュ。

また、キッズカーといっても、海外製品はエンジンを搭載したものが少なくなく、こちらも50ccの単気筒エンジンに前進1速、すなわちジュニアカート的な構造となっています。サイズは本物のF1マシンの約半分〜2/3ほどのスケールで、260×140×90cmと大人が乗るカートよりは大きめ。となると、広いお庭でもないと全開走行は難しそうで、なかなか庶民には手が出しづらいのかと。

画像: スクーデリアの公認を得ているからこそ、跳ね馬やカラーリングの再現が可能。シートベルトもサベルトを使うなど凝りまくりです。

スクーデリアの公認を得ているからこそ、跳ね馬やカラーリングの再現が可能。シートベルトもサベルトを使うなど凝りまくりです。

画像: プルロッドのサスといい、複数枚構造のフロントウィングといい、とても子供のおもちゃとは思えない再現ぶり。

プルロッドのサスといい、複数枚構造のフロントウィングといい、とても子供のおもちゃとは思えない再現ぶり。

画像: サイドポンツーンはシーズン初期型を踏襲。実車は後半戦でより空力を意識したデザインに変更されました。

サイドポンツーンはシーズン初期型を踏襲。実車は後半戦でより空力を意識したデザインに変更されました。

画像: ロールバーも金属製で、リベットや質感はじつにリアル。コレクター垂涎の的というのも大いに納得です。

ロールバーも金属製で、リベットや質感はじつにリアル。コレクター垂涎の的というのも大いに納得です。

実際、オークションに出品されると1万5000〜2万ドル(約230万〜300万円以上)の高値で取引されており、チビッ子のおもちゃというより富裕層のコレクターズアイテムと化している模様。やっぱり、おもちゃになってもフェラーリ、とりわけF1は雲の上の存在と言えそうです。

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