文:Webモーターマガジン
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従来型と似ているようでいてパッケージングを大きく変更
「あまりに小さ過ぎ」て「パワーステアリングも付かず」・・・といったオリジナルモデルの「旧さ」をすべてリファイン。イチから作り直すことで「現代でも普通に使えるモデル」へと改めたのが、21世紀に蘇った、BMWがプロデュースする『MINI』。こんなフレーズはそっくりそのまま、『フィアット500』にも当てはまる。言うなれば、かつて人気を博した実用車を最新の要求と規則を踏まえ、現代の解釈によって開発した「焼き直し版」。語弊はあるかもしれないがハードウェアにはかくも最新アイテムを採用しつつも、そこで勝負になるのはやはりまずはそのルックス、というのが「この種」のモデルだ。
というわけで『ザ・ビートル』は、従来型である『ニュービートル』ともども、その「出典」は空冷の水平対向エンジンを丸くてコンパクトなボディのリアエンドにマウントしていた時代の、オリジナルのビートルへと遡る。そんな往年のモデルをモチーフに、FFレイアウト化したモデルとしては、これで2代目。すなわちそれはMINIと同様、こちらも商売として「しっかり成功」という評価を得ていることを証明する結果にもなっている。
けれども今度の『ザ・ビートル』は、従来型に似ているようで実はパッケージングを大きく変えている。その点、2代のMINIとは、実は似て非なる存在と言えるものだ。
新型では、ポジションランプとしての機能を果たすLEDがヘッドライトユニットを縁取るといったモダーンさもアピールするものの、フロントビューが見せる表情というのは、2代のFFビートルでさほど変わってはいない。しかしその1点を除いてしまえば、新旧モデルのスタイリングというのは、実は「この種」のモデルとしては例外的とも思える変貌ぶりを示しているのだ。
従来型の『ニュービートル』では、フェンダー一体型バンパーとでも称したくなるリアエンドの左右端に、丸いコンビネーションランプが愛らしくマウントされていたリアビューは、新型ではランプが巨大なテールゲートを左右から挟み込むようにリデザインされ、走り去る後姿が見せる印象は大きく変わった。しかし、それよりも激変したのはサイドビューで、ここにビートルの狙いどころが大きく変化したことが象徴されている。

パッケージは洗練され、より合理的なデザインとなったが、ひと目見るだけで“ビートル”とわかる。
従来型の『ニュービートル』が見せた前後フェンダーやルーフアーチの「真円形」は姿を消し、「AピラーとCピラーの下端に前後フェンダーがぶら下がる」という特徴的だったバランスも、新型ではもう見ることはできない。そのプロポーションは、ノーズ部分がフラット化されたことでロングノーズの印象が明確になり、もはや暗がりで「どっちが前?」と訊ねたくなるシーンもなくなったのだ。
そんな新型は、ホイールベースの20mmのプラスに対して、全長は140mmもの延長。全高は5mmマイナスに過ぎないが、フラット&ロング化されたルーフラインによって、後席ヘッドスペースは60mmも増加。荷室容量も約1.5倍に拡大されるなど、スペックもプロポーションの変化を裏付けている。

先代のニュービートルよりむしろ、空冷の水平対向エンジンをリアエンドにマウントしていた時代の「オリジナルのビートル」を感じさせるサイドビュー。
こうしたパッケージングデザインの変更は、結果として愛らしさが薄れ、よりスポーティで精悍な雰囲気を強めるに至っている。そう、これこそが今回のモデルチェンジでの狙いどころだろう。「過ぎたキュートさを是正し、男性ユーザーに対する敷居を下げて、より大きなマーケットを獲得したい」。スタイリングイメージの変更には、そんな開発陣の思いが込められているわけだ。
アメリカ向けには200psを発する2Lのターボ付きや2.5Lの5気筒エンジンモデルが用意され、ヨーロッパ向けには1.4Lでツインチャージャー付きの160psエンジン車の設定もあったりと、欧米市場に対しては意外にもスポーティさが強くフィーチャーされている『ザ・ビートル』。しかし、日本導入モデルはまずは1.2Lのターボ付き直噴エンジン搭載仕様のみ。燃費性能に注目が集まる現在の日本市場に向けては、定着しつつあるダウンサイジングのイメージを確固たるものにしたいという思いもあるのかも知れない。
