2012年4月、ニュービートルの後継となる「ザ・ビートル」が日本に上陸した。往年のビートルのデザインを引き継ぎながら現代風にアレンジされたニュービートルの登場からおよそ13年、「ザ・ビートル」は後継モデルとはいえ、よりスポーティに大胆に変わっていた。今回は上陸したばかりのタイミングで行われた試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2012年7月号より)

走り味や動力性能はゴルフに似て静かで上質

そんな最新のビートルのドライバーズシートへと乗り込んで、まずはホッとした。従来型で過剰な存在感を発していた異様なまでの奥行きを持つダッシュボードが、外観に相応しいポップなデザインを与えられた上で、ずっと「コンパクト化」。不自然なまでに後方に座ってドライブするという違和感が、随分と解消されたからだ。

実は新型でも、ウインドシールド越しの視界にはノーズ部分もフェンダーも一切目に入らず、フロント周りの見切り感は優れているとは言えない。しかし遠くに位置する太いAピラーが、重要な部分に大きな死角を生み出す従来型でのウイークポイントは改善され、日常シーンでの扱いやすさはグンと増している。

そんな新型の後席スペースは、「ニースペースはゼロで頭上もゲート下にはなるものの、前席下への足入れ性が確保されているので大人でも短い時間なら快適に過ごせる」という印象。荷室容量は拡大されたが、デザイン上「後端側では高さ方向が厳しく制限される」のは止むを得ない。

上面がフラットで上開き式グローブボックスも設けたダッシュボードのデザインは、なかなか「気分」だが、オーディオ用スペースを2DINサイズにこだわったのはもったいない。この一等地をもっと「らしいデザイン」に使えれば、ビートルならではという雰囲気を効果的に演じられたのではないだろうか。

画像: ボディと同色のパネルは、インパネ回りだけでなく車室内を一周する。ボディ&インテリアカラーは6色を用意。

ボディと同色のパネルは、インパネ回りだけでなく車室内を一周する。ボディ&インテリアカラーは6色を用意。

ところで、その走りはやはり現行ゴルフのテイストを強く受け継いでいる。走り出しの瞬間に感じられる「静かで上質」な印象は、まさにそれを代表するポイントだ。

動力性能の印象はほぼ同重量ということもあり、同じパワーパックを搭載するゴルフTSIトレンドラインと「変わらない」と言って差し支えないもので、走り出しの瞬間からのDCT(DSG)のスムーズさも文句ナシの仕上がり。『ザ・ビートル』のラインナップ中では日本導入モデルは「もっともレスパワーの仕様」になるわけだが、それでも加速の能力に不満を抱いたことは「ただの1度もなかった」というのは本当だ。 

ただし、フットワークに関しては同じであるはずのベース車「ゴルフ」の上質さに対して、やや見劣りする印象を抱くことになった。比べるとバネ下の動きが少々重く、ストローク感も多少乏しいと感じられたのだ。これは、ルックス優先と想像される、よりワイドで大径なタイヤを履いていた所に起因するところが大だろうか。走りのバランス感で言えば、「やはりゴルフが上を行っている」というのが率直な印象となったのだ。

そんな「狙いどころ」を新たにしたビートルは、しかし外観上ではどこから見てもやはりビートルにしか見えない。もはや手の付けようがないと思えたパッケージングをかくも軌道修正できたところに、新型のデザイン手腕の高さが光っている。(文:河村康彦)

フォルクスワーゲン ザ・ビートル デザイン レザーパッケージ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4270×1815×1495mm
●ホイールベース:2535mm
●車両重量:1280kg
●エンジン:直4SOHC
●排気量:1197cc 
●最高出力:77kW(105ps)/5000pm 
●最大トルク:175Nm(17.8kgm)/1500-4100rpm
●トランスミッション:7速DCT(DSG)
●駆動方式:FR
●車両価格(税込):303万円(2012年当時)

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