2011年11月、ムルシエラゴの後継となる、ランボルギーニの12気筒フラッグシップモデル「アヴェンタドール」が日本初公開されて話題を呼んだ。そのアヴェンタドールに国内で初めて試乗することができたのは、2011年7月、千葉・袖ヶ浦フォレストレースウェイで行われた試乗会のことだった。すべてが規格外の奇跡のスポーツカーの登場に驚かされることになったのだが、今回はその試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2012年9月号より)

文:こもだきよし
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獰猛なのに意外なほど俊敏、そのエキゾチックさも魅力

アヴェンタドールの試乗会は袖ヶ浦フォレストレースウェイで行われた。ランボルギーニのインストラクターが先導して3ラップ走行し、クールダウンを1ラップして戻るという走行パターンで、時間をおいて3回走るというスケジュール。クールダウンラップも入れて計12ラップの走行だ。

シザースドアを開けて、幅広のサイドシルをまたいで乗り込む。この面倒さも魅力だ。センターコンソールの中央にある小さなカバーを開けて、ボタンを押すとエンジンスタート。アヴェンタドール専用に新開発された60度V型12気筒6.5Lのエンジンが猛々しく吠える。この時代に、6.5L V12気筒エンジンをこのクルマのためだけに開発したという話には驚くばかりだが、そのエキゾーストサウンドには思わずニンマリしてしまう。

トランスミッションは「ISR」と呼ばれる7速のシングルクラッチのAMT。「eギア」の進化版というべきもので、シングルクラッチながらシフトロッドをふたつ持ち、デュアルクラッチに負けないスムーズな変速を可能にしている。2ペダルだが、ブレーキペダルはそれほど大きくない。ステアリングコラムに固定された右のパドルを引けば、1速ギアに入る。

1回目の走行ではストラーダ、スポーツ、コルサという3つのドライブセレクトモードを切り替えて走ってみた。四輪駆動の前後駆動力配分を変えることによって、弱アンダーステア(ストラーダ)、オーバーステア(スポーツ)、ニュートラルステア(コルサ)に変化させることができるのだ。また同時に、アクセルペダルのレスポンス、ESCの作動タイミング、シフトアップの速度なども変化する。

700psというエンジンパワーを持つクルマが走るにしては、タイトターンが多いサーキットではあるが、アヴェンタドールは苦もなくスムーズに曲がってくれる。ブレーキを緩めながらターンインしていくと、ノーズは狙いどおりにコーナーに向かう。そしてイン側のクリッピングポイントを通過してアクセルペダルを踏み込んでいけば、四輪駆動の強みを発揮して690Nmという巨大なトルクを使うことができるのだ。

画像: 袖ヶ浦フォレストレースウェイはタイトターンが多いサーキットだが、アヴェンタドールは苦もなくスムーズに曲がってくれた。

袖ヶ浦フォレストレースウェイはタイトターンが多いサーキットだが、アヴェンタドールは苦もなくスムーズに曲がってくれた。

ランボルギーニというと「直線番長!」というイメージだったが、これはまったく違う。全長4780mm、全幅2030mmという巨体がこれほどきびきび走るとは信じられなかった。ランボルギーニがこんなに乗りやすくてもいいのかという疑問を持つほど、素晴らしいハンドリング性能だ。

その驚くべき俊敏さには、このクルマ専用に開発されたプッシュロッド式サスペンションやカーボンファイバーを多用した軽量ボディ、熟成されたハルデックス式センターデフの四輪駆動システムなどが効いているのだろう。

タイヤはアヴェンタドール用に開発されたピレリPゼロで、サイドウオールにLマーク(ランボルギーニのメーカー承認マーク)が入っていた。前は255/35ZR19(96Y)、後355/30ZR20(104Y)とかなりファットなタイヤであるが、グリップ限界が高いだけでなく穏やかな挙動変化を見せ、これもこのクルマのパフォーマンスに大きく貢献しているのがわかる。

すべてにおいて通常の市販車の常識を超えている

2回目の走行は右ハンドル仕様を選んだ。ペダルレイアウトでは左ハンドルが有利だが、このサーキットのコースレイアウトでは右ハンドルの方がAピラーが視界の邪魔にならずコーナーの先が見えて走りやすかった。

3回目の走行はインディドライバーだった松田秀士氏とボクの2台でインストラクターカーを追従することになった。コースインからかなりペースが速い。インストラクターも本気モードで走ってくれている。この時は走行プログラムをスポーツのオートモードにして走った。すると、袖ヶ浦の短い直線で194km/hをマーク。これは相当に速い。前を行く松田秀士氏に置いて行かれるかと思ったら、コーナー立ち上がりの加速でも離されず、ブレーキング開始までに近づいた。

画像: アヴェンタドールのためだけに新たに開発されたという6.5L V12気筒エンジン。8250rpmで700psを発生する。手前にプッシュロッド式サスのダンパー(オーリンズの固定レート)が見える。

アヴェンタドールのためだけに新たに開発されたという6.5L V12気筒エンジン。8250rpmで700psを発生する。手前にプッシュロッド式サスのダンパー(オーリンズの固定レート)が見える。

後でわかったことだが、松田秀士氏はサーキット走行用であるコルサモードで走っていたそうだ。このモードではシフトはマニュアル操作となるが、トルクが大きすぎて、シフトアップ時にホイールスピンをするとESCが作動してしまうそうだ。この試乗会ではESCをカットすることは禁止されていた。ボクはスポーツのオートモードで走っていたのでレッドゾーンの手前の8000rpmで自動的にシフトアップしてくれるから、コーナーの立ち上がりの加速が良くなったようだ。タイトコーナーが多いこのサーキットではアクセルオンでオーバーステア傾向になるスポーツのプログラムも良い方向に働いたのだろう。

それにしても、すべてにおいて、このクルマは通常の市販車の常識を超えている。最高速350km/h、0→100km/h加速2.9秒というパフォーマンス、そしてその迫力とエキゾチックさは、とても市販車とは思えないものだ。(文:こもだきよし)

画像: インテリアはその獰猛なイメージから想像できないほど上質で高品質。スイッチ類のデザインはいかにもランボルギーニだが、その仕立ての良さにはアウディからの影響を感じることができる。

インテリアはその獰猛なイメージから想像できないほど上質で高品質。スイッチ類のデザインはいかにもランボルギーニだが、その仕立ての良さにはアウディからの影響を感じることができる。

ランボルギーニ アヴェンタドール LP700-4 主要諸元

●全長×全幅×全高:4780×2030×1136mm
●ホイールベース:2670mm 
●車両重量:1575kg
●エンジン:V12DOHC
●排気量:6498cc
●最高出力:515kW(700ps)/8250rpm
●最大トルク:690Nm(70.4kgm)/5500rpm
●トランスミッション:7速AMT
●駆動方式:4WD
●車両価格:4100万2500円(2012年当時)
※EU準拠

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