文: 功刀和幸(MotorMagazine編集部)/写真: 永本秀和
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SUBARUが独自開発を行っている新BEVの第1弾
SUBARUは現在、これまでの根幹を担ってきた水平対向エンジン「BOXER」シリーズの進化を進めながら、モーターのアシストで独自のAWD性能を拡張する「e-BOXER」を加え、商品価値を高めている。一方で、メインマーケットのひとつとなる北米市場を睨んで、需要の高まるBEVカテゴリーに、トヨタと共同開発の「ソルテラ」、そして「トレイルシーカー」をリリースしている。
そのラインナップをさらに強固にするため、SUBARUは独自開発のBEVの開発を精力的に進めているという。
2023年8月に公表した新体制方針でBEVへの大規模投資を発表。その2年後の「2025方針」では、開発体制の改革や、新たなラインナップの展開を発表した。今回は、その独自開発BEVが初めて実車となってメディアの前に披露される機会となった。

今回初お披露目となったSUBARUが独自開発したBEVの初期試作"台車"。
従来までの開発工程において、1次試作台車となる最初期の段階の台車を外部にお披露目するのは考えられないことだそうだが、新体制への転換以前から進めてきたCAE(Computer Aided Engineering=計算機援用工学)技術の活用による開発プロセスの大幅短縮により、従来と比べてかなり早い段階で台車をカタチにすることができたという。
しかも、以前なら「とりあえずクルマのカタチにできました」というレベルだったものが、CAEの活用や、新たに導入した「分業しすぎない大部屋開発」などの新体制効果で、エネルギーの流れの最適化や衝突安全性能の強化などが盛り込まれた、高レベルの台車をいきなりカタチにすることができたのだという。

独自開発BEVと、その開発メンバーたち。
今回はその1次試作台車に試乗できたのでレポートをお伝えしたい。
外環はいかにもプロトタイプ。だが乗り味は・・・
外装のあちこちに、手作業による外板の埋め合わせ部が見られる真っ黒な試作台車は、いかにもプロトタイプという雰囲気。
外装のパネルや灯火類に既存の車種のものを使用しているため、スバル車らしい雰囲気を感じるが、フロントオーバーハングの短さは大きく異なる。BMW車を連想するそのバランスが、これまでのSUBARU車とは違うということを物語る。これは床下に搭載するバッテリーパックの高さを抑えつつ容量を稼ぐため前方への張り出しを広げたためで、BEVとしてはセオリーに則ったもの。

レヴォーグのサイズ感だが、フロントオーバーハングの短さは従来のスバル車と大きく異なる。
乗り込むと、内装はまだトリムなどに未装着な部分があり、車両情報を映し出すディスプレイの簡素なGUIが実験・検証段階であることを示している。シートはインプレッサ S201 STIバージョンの限定車用フルバケットタイプが装着されているが、座面の低さに加えて床面がBEVにしては低く、スポーツカーに乗り込んだときの感覚に近かった。

バッテリーパックの厚みを25%減らすことで、BEVとしてはかなり低い床の高さを実現。
ソルテラと同型状のシフトダイヤルを「D」に操作して発車させる。アクセルペダルへの反応はかなりリニアな印象で、踏み込んだ分だけ車体が前に進む感覚だ。少し強めの加速でも車体の挙動はピッチング方向の揺れなどの無駄な動きをせずに安定している。左右の切り返しからヘアピンカーブへ進入する流れの中でも車体の動きはフラットな状態を保っていて、タイヤからのインフォメーションに意識を集中できる安心感がある。
ハンドルを切った際の挙動も素直で、狙ったラインに遅れなく車体が付いてくる感覚だった。また、ハンドルや身体に感じるインフォメーションがクリアな点も印象的だった。

最初期の試作台車とは思えない、安定した挙動で走行ができる。
1次試作の段階とは思えない高いレベルの操安性
80km/h区間で加速を試みると、新開発の前後eAxle(フロント150kW/リア230kW)によるかなり鋭い加速感と高い動力性能の一端を体感できる。この最高出力は現行のソルテラに比べて1.5倍近い大きな数値だが、Performanceラインのためだけでなく、今後の展開が望まれている大きなサイズのSUVへの搭載も見据えた設定だということなので、そちらの展開も期待したい。

新開発された前後eAxleの総合出力はSUBARU車で最高レベルとなるだろう。
加速中もそうだが、コーナーリング中に挙動の軽さが感じられた。軽量コンパクトを追求した前後eAxleと新開発のバッテリーパックに加えて、CAEを駆使して設計した、贅肉をそぎ落としたシャシとボディなど、各部の軽量化が効いていると思われる。
1次試作台車ということで、ブレーキやサスペンション、モーター制御などのセッティングや味付けはまだまだこれからという段階だが、この短い試乗でも、シャシの仕上がりとポテンシャルの高さを感じられた。

鋭い加速と、安定した挙動のフラットライドを見せる試作台車。
新体制での開発期間短縮により、最初期の1次試作台車が極めて早い段階で実現できたことで、従来の開発期間と比べて、煮詰めや味付けに多くの時間を使うことができるようになった。これから独自開発BEVの第1弾として、SUBARUらしい安心と楽しさがたっぷり盛り込まれた新たな魅力のBEVが登場することだろう。完成車のリリースが楽しみだ。
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