T8は文句なしに最高のボルボだった
新世代のボルボ90シリーズは、フラッグシップSUVのXC90から日本への導入が始まった。本誌では、そのXC90の中でも、トップモデルとなるプラグインハイブリッドの「T8 ツインエンジン AWD インスクリプション」の長期テストをいち早く開始、8カ月間にわたり1万km以上走行した。
全長4950 mm 、全幅1960mmという余裕あるボディサイズの3列シートSUVは、あらゆる場面で活躍してくれた。大人数で移動することも可能だが、編集部では3列目のシートを畳んで使うことが多く、凹凸の少ないラゲッジルームは、撮影機材など大容量の荷物も楽々と積み込める。
このT8は、新しい世代のボルボを実感させるとともに、歴代ボルボのテスト車の中でも文句なしに〝最高の1台〞と言っていいだろう。しかし、今月でテスト終了としたい。新たな車両に入れ替えるためだ。
そこで今回は、8カ月間のデータをまとめた。走行距離は10635km、その間に使用した燃料量は1165.2Lで平均燃費は9.1km/Lとなった。そして総充電回数は18.5回である。0.5回分は満充電していないため半分カウントだ。ちなみにT8は、EV走行距離がゼロと表示されていても始動後の走り出しはモーターで走ったりするので、そこにインテリジェンスも感じていた。
搭載エンジンは、2L直4ターボ+スーパーチャージャーである。このエンジンはとても力があって扱いやすい。XC90のような大型SUVを楽々と走らせてくれる実力の持ち主で、必要な時は右足に力を入れれば強烈な加速も味わえるのだ。
インテリアは、スイッチ類が少なくなっているのが特徴である。そしてこの実現には、音声操作機能が重要な役割を果たしている。つまり、ナビも空調も各メディアもタッチ式ディスプレイだけを使うことが前提になっていないということだ。音声やハンドルのコントローラーも合わせて使うことが前提なのである。これがとても使いやすく、運転中は、多彩な機能をほぼ音声で操作していた。ただし、音声で操作できない機能もあるので認識できるコマンドの種類は今後、もっと増やして欲しい。
最後にもうひとつ。実は、マッサージ機能がとても気に入っていた。XC90のこの装備は、強すぎず弱すぎず、ちょうどいい。とくに長距離移動時は、ほどよく身体をほぐしてくれるのでとても重宝していた。
さて、次に導入するクルマはどれにするか……。実はこうして次期テスト車を想像している時間が、とても好きだったりする。(文:千葉知充/写真:永元秀和)