日本でもすでに4月に発表され、今秋の発売が予定されているMINI初のプラグインハイブリッド車、MINIクーパーS EクロスオーバーALL4。その海外試乗記の模様を、モータージャーナリストこもだきよし氏がレポートする。
システムの基本はBMW2シリーズATのPHEVと同じ
CO2の排出量削減のための対策に迫られている欧州のカーメーカーは今後プラグインハイブリッド(PHEV)を続々と出してくるはずだ。
MINIからもご多聞に漏れずPHEV化したモデルが登場した。いまだに建築中のサグラダファミリアがあるバルセロナで試乗してきたのでレポートしよう。
MINIクーパーS Eカントリーマン、日本名クロスオーバーのPHEVは、その基本はBMW2シリーズアクティブツアラーのPHEVと構成は同じである。
ネーミングに「E」と付くことでPHEVと判断できる。200Vの給電口は左フェンダーにあり、バッテリーは後席シートの下に収まる。
フロントに1.5L3気筒ターボエンジンを横置きに搭載する。後輪は電気モーターで駆動する4WDであるが、前後軸をつなぐプロペラシャフトはない。
スポーティな走りを持つPHEV
市街地での発進は後輪の電気駆動から始まる。クルマがスタートしてからエンジンがかかる。
このときのエンジンの始動はとてもスムーズである。ハイボルテージの大型オルタネータがゴムのベルトを介して始動するからだ。電気モーターの駆動とエンジンの駆動の両方でしばらく走ると後輪のモーターでの駆動がなくなりエンジンのみになる。電気モーターの低回転域でのトルクは太いから、発進時はとても楽である。
高速道路での通常走行ではほとんどエンジンのみで走行している。
ワインディングロードではコーナーの立ち上がりでPHEVのメリットを感じた。それはアクセルを踏み始めたときエンジンのターボパワーが立ち上がる前でも電気モーターのトルクが立ち上がるからだ。それより前にエンジンに付いているハイボルテージのオルタネータが駆動力として働いてくれるから、とてもスムーズに加速するのだ。
eモードスイッチでeパワー(他にオートeパワー、セーブモードがある)を選ぶと、125km/hまで電気だけで走ることが可能だ。アクセルペダルを深く踏めばエンジンがかかりオートeパワーに切り替わる。
ドライブモードの切り替えスイッチもある。スポーツ、ミッド、グリーンはMINIではお馴染みのものである。
MINIクーパーS EカントリーマンのCO2排出量は49〜52g/kmである。空気抵抗とハイグリップタイヤを採用しているせいでPHEVのトップランナーではない。走り重視のPHEVなのだ。
主要諸元【MINIクーパーS EクロスオーバーALL4】
MINIクーパーS EクロスオーバーALL4
●サイズ=4315×1820×1595mm●ホイールベース=2670mm●エンジン=直3DOHCターボ 1499cc●最高出力=136ps/4400rpm●最大トルク=220Nm/0-3000rpm ●モーター出力88ps ●モータートルク165Nm ●総合出力224ps ●車両価格=479万円