先日開催された、スバルの衝突実験見学会。自動車メーカーは、日々どのようにして安全のことを考え、クルマに採用していっているのか。モータージャーナリストの竹岡 圭さんがレポートする。
画像: スバルテックツアーでの竹岡 圭レポーター。動画撮影中のヒトコマ。

スバルテックツアーでの竹岡 圭レポーター。動画撮影中のヒトコマ。

スバルは1965年から前面衝突試験を行ってきた

スバルが前面衝突試験を開始したのは1965年のこと。それって、私が生まれる前ジャン! ということにもビックリですが、日本で前面衝突安全保安基準が適用されたのが1994年のことですから、29年も前から試験を始めていたというのも驚きです。

でもだからこそ「安全はみんなに普及しないと意味がない。だからこそ低価格でみんなが装着できるものを」という、アイサイトのような安全デバイスを、いち早く世の中に送り出せたのかもしれませんね。

画像: 64km/hからのオフセット衝突実験。「ドーン」というものすごい衝撃音が鳴り響いた。

64km/hからのオフセット衝突実験。「ドーン」というものすごい衝撃音が鳴り響いた。

画像: オフセット衝突でのダミー人形。見た目は損傷がない。また運転席側/助手席側ともにドアが開いたことを確認。

オフセット衝突でのダミー人形。見た目は損傷がない。また運転席側/助手席側ともにドアが開いたことを確認。

画像: オフセット衝突。エンジンルームがクラッシャブルゾーンとなって、キャビンがしっかりと守られているのがわかる。

オフセット衝突。エンジンルームがクラッシャブルゾーンとなって、キャビンがしっかりと守られているのがわかる。

日本車初となる歩行者保護エアバッグ

そのスバルが次に送り出したのは、日本車では初となる、歩行者保護エアバッグ。こちらもずいぶん前から構想としてはあったようで、1970年代にはぶつかった歩行者を網ですくう装置を付けた車両で、試験が行われていたほど。

そこから市販化されるまでに、実に40年以上が必要だったことになりますが、最近いろいろなものがグローバル化している中で、夜に高齢者がひとりで自由に出歩ける安全な国=夜間歩行中の高齢者の事故が多いという特徴を鑑み、日本のメーカーが日本市場のことを考えてくれている姿勢は、やはり嬉しいですよね。

JNCAP歴代最高点をマークしたインプレッサ/XV

さらに、そこに加えて、特に高齢者の乗車中の事故は実は胸部への障害値が問題というところに着目し、ロッキングタングを使い腰ベルトをロックすることで、衝突時に下半身はしっかり、胸部はソフトに拘束するという手法を実現。また後部座席のシートベルトリマインダーを、音と視覚で表現して装着を促すという、これまた日本初の心遣いを盛り込んで、JNCAPで歴代最高点をマークした上に、特別賞も受賞するなんていう快挙を達成したんですよ。いやはや頭が下がります。

そして今回、衝突安全試験の現場を見せていただくことになったわけですが、今回見学させていただいたのは、全幅の40%だけを衝突させるというオフセット前突試験、歩行者保護エアバッグの静展開試験&センサ試験の4つ。

画像: インプレッサ/XVに全車標準装備する歩行者保護エアバッグ。危険性の高いピラー部をエアバッグでカバーする。

インプレッサ/XVに全車標準装備する歩行者保護エアバッグ。危険性の高いピラー部をエアバッグでカバーする。

なかでも賢いなぁと感心したのは歩行者保護エアバッグの試験で、クルマの外にあるエアバッグだけに、雪や土砂が溜まっていてもちゃんと開かなきゃいけない、でもショッピングカートがぶつかったくらいで開いたり、深い水溜まりに突っ込んだくらいで開いたら困るという、相反する要件をきちんと達成しておりました。こういった、年間600台以上という過酷な試験のおかげで、私たちの安全が確保されているんですよね。

画像: 歩行者保護エアバッグはいろいろな状況下でも安定して開くが、水濠に勢いよく入ったり...の不要な時には開かない。

歩行者保護エアバッグはいろいろな状況下でも安定して開くが、水濠に勢いよく入ったり...の不要な時には開かない。

This article is a sponsored article by
''.