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文:アレックス・オースタン(Kimura Office)/写真:Daimler AG
適度に速くて操りやすい直4の2WDが魅力的だ
今回テストドライブしたのは、最高出力333psと最大トルク480Nmを発揮する3L V6ターボを搭載したE400 4マティックカブリオレの25周年記念モデルと、245psと370Nmを絞り出す2L直4ターボを積むE300カブリオレである。フランスのアルプスのワインディングロードを中心に、計300km以上をドライブした。
E400カブリオレはガソリンのトップモデルということもあり、力強い加速を披露した。長い上り坂でもストレスをまったく感じることはない。コンフォートモードを選べば、乗り心地も文句なく快適で、ロングツーリング向きのGTといった印象である。4WDであるためスタビリティが高く、直進性も良い。逆にスポーツプラスを選んだ時は、スポーティな走りが楽しめるが、パワートレーンやシャシの制御が不釣り合いなほどハードに感じられた。

一方、2WDのE300カブリオレは、4気筒エンジンを搭載するためフロントが軽く、FRらしい素直でクセのない、ハンドリングが味わえた。絶対的なパワーではV6ターボを積むE400には劣るが、十二分にスポーティなドライビングが楽しめる。スポーツプラスモードにおける走りはとても軽快でダイナミック。ドライビングプレジャーは明らかに上だ。日常的に気持ちの良い走りが楽しめるのは、こちらだ。
9速ATの9Gトロニックは極めてスムーズな変速感で、常に最適なギアを選択。どこからでも気持ちの良い加速が味わえるし、コーナリング時にはトルクベクタリング機能が効果を発揮、胸の空くような俊敏で正確なコーナリングが楽しめる。

日本には2018年第1四半期に、2L直4ターボを搭載したE200と、E400 4マティックの2タイプが導入される予定だ。

オープン化にあたり、ボディはフロントまわりとフロアを中心に補強が施された。重量はクーペ比90kg増。

メルセデスのオープンモデルで採用されている「エアキャップ」を装備。ルーバーによって走行風の巻き込みが低減される。

Eクラスから始まったクリスタルルックのテールレンズをカブリオレももちろん採用。粒子状のリフレクターがライト光を拡散させることで、息を呑むような美しさを生む。
また乗り心地も文句なく快適で、コンフォートモードではゆったり上質な時間を堪能できる。ソフトトップを閉じた状態では、クーペに負けない優れた静粛性を実現。想像以上に剛性感があるためか、90kg増えた車両重量も気にならない。
大人4人がゆったり座れて荷物も積め、スポーティな走りも兼ね備えたラグジュアリーなオープンカー。趣味のためのクルマとしてはもちろん、ファーストカーのチョイスとしても相当な魅力に溢れている。ニューEクラスカブリオレは、ちょっと心を豊かにしてくれる1台であると言っていい。