独立したエレクトリックパフォーマンスブランドとして新型モデルを市場に投入すると発表したのだ。
EVのみを作るわけではない。EVもPHEVも開発する。
ボルボと共同で、S60/V60ポールスターなどコンプリートパフォーマンスモデルを開発していたポールスターのパフォーマンス部門が、ボルボの傘下に入ったのは2015年のこと。だが、17年6月に入って新しい展開を見せた。それはボルボから独立したエレクトリックパフォーマンスブランドとなることを発表したのだ。そしてその発表後初の公式記者会見が中国・上海で開かれた。
登壇したのは、ポールスターのCEOに就任したトーマス・インゲンラート氏である。ボルボカーズのデザイン担当上級副社長を兼任する新CEOは、このイベントで、新生ポールスターの船出となるモデル「ポールスター1」を世界初公開した。
このポールスター1は、ボルボのSPA(スケーラブル プロダクト アーキテクチャー)をベースに、約50%がポールスターのエンジニアによって新設計された2+2のグランツーリスモクーペである。
パワートレーンの詳細なスペックは公表されていないが、エンジンはボルボのDrive-Eの2L直4ターボ+スーパーチャージャーを搭載し、それに電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHEV)で純粋なエレクトリックパワーのみで約150km走行できるという。これは現在のPHEVのなかでも最長の航続距離である。さらに最高出力は600ps 、最大トルクは1000Nmを発生し、生産台数は最大で年間500台だという。市場導入は19年中旬を予定している。
ボディにも注目の技術が使われた。それはCFRPである。これにより軽量化の実現とねじり剛性の向上を両立させ、重心を低くできたという。さらに世界で初めてオーリンズ社製新型連続電子制御サスペンション(CESi)も搭載している。
またこのポールスター1は、中国の成都に建設中で18年半ばに完成予定のポールスター プロダクションセンターで生産される。さらにボルボカーズは、吉利(ジーリー)ホールディングとジョイントベンチャーを設立しポールスターの開発を支援、その投資額は6.4億ユーロ(約844億円※1ユーロ132円で換算)になると公表された。
ポールスター2はBEV、そして3はSUVのBEV
またここではポールスター2とポールスター3の開発も明らかにされた。19年末までに生産が開始されるポールスター2は、ボルボの60シリーズより下、つまり40シリーズに採用されるCMA(コンパクト モジュラー アーキテクチャー)を使用し、テスラモデル3などと競合するバッテリーEV(BEV)であり、ボルボカーグループとして初のBEVとなり、ポールスター1よりも多くの生産台数を予定している。
そして現在、デザインの最終段階となっているのがポールスター2より大型のSUVのBEV、ポールスター2である。このモデルには次世代のSPAが使われ、生産台数と価格はポールスター1とポールスター2の間に位置付けられるという。
ここでボルボとポールスターの関係を整理すると、BMWのM社やメルセデスのAMG社のようなものに近いのではないだろうか。ただしポールスター車はすべて電動化、つまりPHEVやBEVということなので、そうするとEVのi3やPHEVのi8を持つBMWとBMW iの関係のほうが近いかもしれない。
またこの会見では、ポールスターは一般的な販売スタイルを採用しないことも発表された。つまりクルマは100%オンラインで注文され、2年または3年のサブスクリプション方式により提供されるということだ。頭金なしですべて込みのサブスクリプションにはピックアップやデリバリーサービス、ボルボやポールスター車の代車レンタルサービスなども含まれているという。
さて、驚きの新展開となったボルボとポールスターだが、もちろん日本への導入も予定されている。ボルボカージャパンによれば、その時期などはこれから検討に入るということだが、最近の展開の素早さを見るとそれはそう遠い将来ということではなさそうだ。早く日本でもポールスターバッジを冠したこの美しいクーペを見たいものである。(文:千葉知充/写真:Polestar)