世界的に販売好調なFFのコンパクトハッチバックが4代目にバトンタッチし、その新型に試乗した。従来モデルで課題となっていた快適性能の向上には、目ざましいものがあった。モータージャーナリスト渡辺敏史氏のレポート。

インテリジェンスに、そしてコンフォートに

メルセデス・ベンツ ブランドの2017年世界販売台数は約230万台。さらに直近の5年、年10%前後のペースで伸び続けている。この著しい成長を支えてきたのが新しいMFAプラットフォームを用いた現行Aクラス(3代目)とその派生車種、つまりFF系モデルたちだ。

6年ぶりの完全刷新となる新型の主旨は、現行型の弱点を徹底的に補うこと、そしてまったく新しいコネクティビティサービス「MBUX」の提供にある。

画像1: 新型Aクラス。

新型Aクラス。

MBUXはボイスコマンドによるナビの目的地設定や音楽ソースの再生などと、ファンクションにさほど新鮮味はないが、一番の進化点はクラウド経由によるAIとの“対話”。つまりはアマゾンのアレクサやアップルのSiriのような精度や柔軟性、学習性が期待できること。

このAI自体はメルセデスが車載向けサービス用に独自開発したもので、すでに展開しているメルセデス・ミー・コネクトと紐付けされることでパーソナルデータは維持される。つまり買い替え時にMBUXを搭載したモデルを選べば、みずからの行動パターンや嗜好性などを学習したAIを使用可能になるということだ。

今のところ正式なアナウンスはないが、メルセデスはモビリティサービスの普及する将来においても、自社のサービスを使ってもらうための囲い込みを考え始めたと言えるかもしれない。

画像: スタイリッシュさは新型も健在。リアゲートに配置された、グレードを表すエンブレム、A200の“A”の文字だけが赤く塗られている。

スタイリッシュさは新型も健在。リアゲートに配置された、グレードを表すエンブレム、A200の“A”の文字だけが赤く塗られている。

現行型の弱点としてまず挙げられるのは、運動性能の高さとトレードオフした乗り心地の粗さだ。この点、新型は劇的といっていいほどの改善をみていた。従来比30%という剛性向上も奏功してか、微低速域から細かなショックをしっかり吸収する足回りはゴルフもかくやのフラットネスを実現しており、静粛性に至っては同門のCクラスにも迫ろうかというほど。静的質感についてもCクラスに比肩するほど高められており、総合的な上質感は一気に向上した。

居住性や積載性、運転しやすさに繋がる視界特性もしっかり改善されているなど、デイリーカーとして真っ当な進化を遂げていた点が印象的だった。

メルセデス・ベンツ A200(7速DCT・海外仕様)

●サイズ=4419×1796×1440mm ●ホイールベース=2729mm ●車両重量=1375kg ●エンジン=直4DOHCターボ 1332cc ●最高出力=165ps/5500rpm ●最大トルク=250Nm/1620rpm ●駆動方式=FF

画像: ホリデーオート7月号は6月9日発売。

ホリデーオート7月号は6月9日発売。

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