この改良で、上位モデルにランクアップ? マツダ アテンザの上質な乗り味
マツダのフラッグシップモデル「アテンザ」が大幅改良を行った。外観から受ける印象は光りものがさりげなく散りばめられ、上級モデルの品格を感じる。
仔細に見ればフロント回りは細かな造形にまでこだわり、インパネに目を移せば左右に大きく広がり感が出ていてデザインが一新されていることがわかる。シートの形状や色使いをはじめ、現行モデルと比較すると明らかに別モノ。共通なのはボディシルエット程度だ。
当然、走りに関しての進化にも目を見張るものがある。シャシ関係については、スプリングやダンパーといった大物から、ブッシュやマウント類や取り付け方法の変更など通常の改良ではやらない部分も大幅に刷新した。
エンジンも2.2Lディーゼルに急速多段燃焼技術を採用しパワーを175psから190psへ。2.5Lガソリンエンジンは気筒休止システムの採用により実用燃費を向上させた。
乗り込んでみるとドアの締まり方からズシリと重い。エンジンはディーゼル特有の小さな金属音がわずかに届くものの大きな変化はなく、音も振動もしっかりと遮断されている。走行音自体もザラついた感じがない。
ステアフィールも従来の重めで路面からのインフォメーションを伝えるものから、手応えはしっとりと落ち着いたものとなり反発も少ない。ステアリング系の剛性感アップや、サスペンションが路面をスムーズにとらえていることがよくわかる。
仮に凹凸の激しい路面でも足もとがブレることなく上下にしっかり動きを減衰。無駄な動きがないから、ステアリングへの振動もボディシェイクも起こりにくい。サスペンション自体、ボディのピッチング方向の動きを含めて管理したことで、上質な乗り味を実現した。
ガソリンエンジンの気筒休止からの復帰は意識していてもわからないほど滑らか。ディーゼルはより緻密な加速感を得て、高速合流などで楽なのはもちろん静粛性はさらに向上。パワーコントロールも行いやすい。
マツダでは大幅商品改良と言っているが、これはやはり走りを含めて別モノ。フルモデルチェンジ同様の、上質な乗り味と高い質感が与えられている。アテンザの究極モデルと言ってよく、マツダを代表する今が旬の上級サルーンに違いない。(文:瀬在仁志/写真:玉井 充)
マツダ アテンザ セダン 25S Lパッケージ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4865×1840×1450mm ●ホイールベース:2830mm ●重量:1540kg ●エンジン型式・種類・排気量:PY-RPR・直4DOHC・2488cc ●最高出力:140kW[190ps]/6000rpm ●最大トルク:252Nm[25.7kgm]/4000rpm ●WLTCモード燃費:14.8km/ℓ ●燃料・タンク容量:レギュラー・62ℓ ●トランスミッション:6速AT ●タイヤサイズ:225/45R19 ●価格:354万2400円