並み居るライバルたちよりもひと周り大きいボディと、広い室内空間
2017年10月の欧州でのデビューを皮切りに、オーストラリアや北米などに展開する三菱エクリプスクロスは、2018年3月に日本デビューを果たしたグローバル戦略車だ。世界的に人気の高い都会的なクーペフォルムを持つクロスオーバーSUVで、ルーフをリアに向かって低めていくスタイリッシュなフォルムを持つ。
このクラスのコンパクトSUVのライバルは、国産モデルだけ見てもトヨタC-HRやホンダヴェゼル、日産ジューク、マツダCX-3などかなり多い。ただ、この4モデルとボディサイズを比較してみると全長が長く、全高も高く、ひとまわり大きい印象だ。
実際、運転席にボク(身長180cm)が座ったシートポジションで後席に乗り込んでも、ひざ周りにまだ少し余裕があり、思った以上に広い印象だ。後席レッグスペースを確保するため、リアシートに200mmというロングスライドシートを採用しているからだという。スタイリッシュ&コンパクトなクルマでも室内空間の広さを妥協したくないという、ファミリー層にもウケる部分だろう。
試しに、試乗会場で借りたクロスバイクタイプの電動アシスト自転車(全長1840mm)をラゲッジルームに載せてみた。さすがにそのまま載せることはできないが、リアシートバックを倒し、自転車のフロントタイヤさえ外せば難なく収納できた。
乗り心地がいい。それでいてよく曲がる
先述のとおり、エクリプスクロスはクーペフォルムSUVだ。そのエクステリアデザインから、さぞやスポーティな走り味なのだろうとイメージしていたが、いい意味で裏切られてしまった。
コーナーでは自然にロールをしているし、サスペンションはしっかりと動いて路面の凹凸をいなしてくれる。乗り心地がマイルドなのだ。最近の輸入車に多い、スポーツカーのように路面に張り付くようにコーナリングしていくSUVとは大きく異なる。
じゃあワインディングは苦手なのかと思うかもしれないが、実はそんなことはない。安定しながらよく曲がる、という表現が合っているように感じる。
話は少し逸れるが4WDのハンドリングマシンと言われた、ランサーエボリューションを支えたメカニズムの代表AYC/スーパーAYC(アクティブヨーコントロール)が、いまどこで採用されているか知っているだろうか。ハンドル角や車輪速などクルマの状態によって左右輪間の駆動/制動力を制御するシステムだ。
AYCは現在、S-AWC(車両運動統合制御システム)のひとつの機能として、このエクリプスクロスとアウトランダーの4WDモデルに搭載されている。ただ、S-AWCが目指したのはランエボのような“速さ”ではなく、安定したトラクション性能や走行性能、旋回時のシームレスさだ。
つまり、今回の試乗で感じた“安定しながらよく曲がる”は、いまはなきランエボから継承したシステムを進化させたことで生まれたスポーツ性だ。そこに乗り心地や車内の広さなど快適性をプラス、エクリプスクロスはSUVらしいクロスオーバーSUVではないだろうか。
ちなみに、エンジンラインアップは150ps/240Nmを発生する1.5L直4ターボエンジンだけだが、今後プラグインハイブリッド(PHEV)を導入する予定もあるという。さらに2018年度内には欧州でディーゼルターボを投入、日本国内への導入も検討中だというから、今後の展開に目が離せない。
三菱 エクリプスクロス G プラスパッケージ(4WD)の主要諸元
■ボディサイズ:全長4405×全幅1805×全高1685mm ■ホイールベース:2670mm ■車両重量:1550kg ■エンジン:4B40型・1.5L・直4DOHCターボ ■最高出力:150ps/5500rpm ■最大トルク:240Nm/2000-3500rpm ■駆動方式:4WD ■トランスミッション:CVT(8速スポーツモード付) ■タイヤサイズ:225/55R18 ■価格:309万5280円