ランエボと言えば三菱自動車の一番トガった部分を担ったクルマだ。当時としてはハイパワーなエンジンと、常に最新のフルタイム4WDシステムを搭載。見かけはセダンだが紛れもないスーパーカーだったランエボの歴史を振り返ってみたい。今回は、ランサーエボリューションIV。
大きな変化を遂げたエボIVは、エンジン搭載位置も真逆に
1996年8月には、ランサーエボリューションはさらに進化して、エボⅣとしてデビューしてきた。
プラットフォームも一新され、ほとんどまったく別のクルマとして考えてもいいほどの変革を受けた。スタイリングも洗練されたが、最も大きく変更されたのがエンジンの搭載位置だ。
エンジン自体は4G63と従来型と変わらなかったが、エボIIIまではエンジンは助手席側の左に搭載、トランスミッションが右側にあるという構造だった。それを真逆となる、エンジンを右、ミッションを左とする構造に変更したのだ。
エンジンが左側にある場合、駆動輪に駆動を伝えるシャフトの回転方向を逆にしなければならず、トランスミッションへのインプットシャフトとアウトプットシャフトの間に、第3軸と称したインターミディエイトギアを加える必要があった。
だが、エンジンを右側にすればそのギアは不要になる。それだけ駆動ロスを低減させ軽量化にもつながったわけだ。
動力性能の面でも、圧縮比の向上やブースト圧アップなどにより、最高出力は当時の自主規制である280psを発生するに至った。
ランサーエボリューションIV(1996年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4330×1690×1415mm
●ホイールベース:2510mm
●車重:1350(1260)kg
●エンジン型式・種類:4G63インタークーラーターボ・DOHC[16V]直列4気筒
●排気量:1997cc
●最高出力:280ps/6500rpm
●最大トルク:36.0kgm/3000rpm
※( )内はRS