2018年11月にロサンゼルスショーで発表された4代目マツダ 3(日本名:アクセラ)がついに公道デビュー! マツダの屋台骨となる売れ筋モデルの完成度はいかに!?(ホリデーオート2019年3月号より)

新世代のデザインに加えて新しい駆動システムも採用

一時はマツダ全体の3分の1、SUVが人気の現在でもCX-5やCXー3とともに屋台骨を支えるマツダ 3。次期型はまもなく北米と欧州でデビューし、今年半ばには日本でも発売される見込みだが、その屋台骨を支える存在はマツダの今後を占う重要なモデルともなる。

というのも、魂動デザインは深化させて新たなステージに踏み出し、新世代車両構造技術のスカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー、ディーゼルとガソリンのクロスオーバーといえる話題のスカイアクティブXエンジンなど、注目すべきハードウエアも採用されるからだ。

画像: 「凛とした伸びやかさ」をテーマにデザインされ、3BOXセダンの伝統的なスタイルの中にエレガンスを感じるデザインとした。

「凛とした伸びやかさ」をテーマにデザインされ、3BOXセダンの伝統的なスタイルの中にエレガンスを感じるデザインとした。

今回はひと足先にロサンゼルスで試乗。ハッチバックは欧州仕様で2.0Lの自然吸気ガソリンエンジン Mハイブリッド+6速MT、セダンは北米仕様で2.5Lの自然吸気ガソリンエンジン+6速ATで、残念ながら期待のスカイアクティブXは用意されなかった。

画像: 新型マツダ 3も近年のマツダ車と同じく「引き算の美学」に基づいて、不要な要素を削ぎ落としていく手法でデザインされた。

新型マツダ 3も近年のマツダ車と同じく「引き算の美学」に基づいて、不要な要素を削ぎ落としていく手法でデザインされた。

2017年の東京モーターショーに出品されたヴィジョンクーペや魁(カイ)コンセプトを見たときには、こんなに生産が難しそうな面構成で市販化が可能なのかと訝ったが、後者をほぼ踏襲したかたちでマツダ 3は現れた。

画像: 横から見ると伸びやかなフォルムがよくわかる。ハッチバックは「力強さと色気」を表現している。

横から見ると伸びやかなフォルムがよくわかる。ハッチバックは「力強さと色気」を表現している。

エレメントを極力廃してシンプルを追求する〝引き算の美学〞という考えのもと、サイドにキャラクターラインは使わず、かわりにネガティブ方向へも大きく入り込む面構成で、何者にも似ていない独自の表情を見せる。

セダンは伝統的な3BOXスタイルを基本に伸びやかでエレガント、ハッチバックは色気のある塊感でエモーショナルを表現している。

とくにハッチバックはハッとさせられるほど妖艶で、思わず見とれてしまう。サイドの面は光の当たり方で表情が様々に変わっていくのでいつまでも眺めていたくなる。

画像: 伝統的な3BOXスタイルを基本に伸びやかでエレガントなデザインを目指している。

伝統的な3BOXスタイルを基本に伸びやかでエレガントなデザインを目指している。

インテリアはこれまで以上に質感が高まるとともにエクステリア同様のシンプルさも採り入れ、洗練された雰囲気となった。センターディスプレイは横長の8.8インチに大型化。見やすくなったのはもちろん、コントロール性も進化させ使い勝手も向上した。

画像: ハッチバックのインテリア。バニシングポイント(遠近法の収束点)に基づいた奥行きのあるデザインとしている。

ハッチバックのインテリア。バニシングポイント(遠近法の収束点)に基づいた奥行きのあるデザインとしている。

画像: ハッチバックのメーター。3眼メーターの間に、燃費計や燃料計がレイアウトされている。

ハッチバックのメーター。3眼メーターの間に、燃費計や燃料計がレイアウトされている。

24V電源でベルトドライブのISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)となるMハイブリッドは、回生エネルギーを専用の小型リチウムイオンバッテリーにため込み、加速時にはエンジンをアシストする。

それらの効果はフルハイブリッドには及ばないものの、アイドリングストップからのエンジン再始動が極めてスムーズになるなど、商品力強化に効く。

画像: セダンのインテリアも基本的にハッチバックと同じ。センターディスプレイは8.8インチに拡大された。

セダンのインテリアも基本的にハッチバックと同じ。センターディスプレイは8.8インチに拡大された。

シャシの出来はかなり良い。動力性能はスカイアクティブXに期待

MTで操ったハッチバックの2.0Lエンジンは、パワーやトルクでとくに感銘を受けるようなことはなかったが、スムーズで振動の少ない回転感には好感を持った。一方のセダンは2.5Lでトルクが増えるが、今どきの直噴ターボや多段ミッションに慣れた身からすると、ドライバビリティで少し物足りないのは事実。

ここは日本仕様に導入されるであろう1.8Lのディーゼルや、トルクやレスポンスに優れるといわれるスカイアクティブXに期待をかけることにしよう。

画像: ハッチバックのパワーユニットは2LガソリンエンジンにISGを組み合わせた「Mハイブリッド」。

ハッチバックのパワーユニットは2LガソリンエンジンにISGを組み合わせた「Mハイブリッド」。

画像: セダンのエンジンは北米仕様の2.5L自然吸気。ミッションは6速ATが組み合わされていた。

セダンのエンジンは北米仕様の2.5L自然吸気。ミッションは6速ATが組み合わされていた。

驚いたのはシャシ性能だ。走り始めからすべての動きがスムーズで上質。書き味のいいボールペンのようにしっとりと潤いのある感覚だ。

静粛性も、ひと昔前のマツダ車からは考えられないほどレベルが高く、その洗練された乗り味は欧州プレミアム勢をマジでやっつけるぐらいだった。

乗り心地も上質で快適。リアサスペンションは新開発のトーションビームだが、以前のマルチリンクよりも動きがスムーズに感じられ、しなやかで適度に腰がある。

画像: ハッチバックのフロントシート。運転席にはチルト機構を標準装備している。

ハッチバックのフロントシート。運転席にはチルト機構を標準装備している。

画像: セダンのリアシート。ハッチバックよりは居住性は高い。

セダンのリアシート。ハッチバックよりは居住性は高い。

マツダはドライビングポジションにとくにこだわってきたが、今回は骨盤を立てた理想的な着座姿勢となるシートが採用された。自然と背筋が伸びるとともに、自身がクルマの動きに敏感になれている気がした。

その恩恵もあって街中や高速道路を走らせながら、クルマが自分の手足になったかのように感じたところでワインディングロードに突入。連続したコーナーを駆け抜けていくと、まるでダンスを踊っているかのようで心がウキウキとした。

ステアリングを切り込めば、本当に狙ったとおりのラインにクルマが乗っていき、コーナリング途中からの切り増しなどにも素直に応えてくれる。そういった動きもスムーズで連続性があり、上質なスポーティネスを味わえる。

画像: ハッチバックのラゲッジスペース容量は未発表だが、このクラスとしては十分なスペースだ。

ハッチバックのラゲッジスペース容量は未発表だが、このクラスとしては十分なスペースだ。

画像: セダンのトランクの開口部は少し高め。荷室側からシートバックを倒すレバーが設置されている。

セダンのトランクの開口部は少し高め。荷室側からシートバックを倒すレバーが設置されている。

スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャーがもたらす、上質で一体感が高い乗り味は、マツダの走りを新たな次元に引き上げたと言っていい。日本独自の美しさを表現したデザインも含め、ブランドイメージをさらに高めていくことだろう。

2012年の初代CX-5発売以降、スタンダード・ブランドからプチ・プレミアム・ブランドぐらいまで昇格してきたマツダだが、ここからさらに階段を上っていくことになりそうだ。(文:石井昌道/写真:マツダ)

画像: シャシの出来はかなり良い。動力性能はスカイアクティブXに期待

マツダ 3 ハッチバック Mハイブリッド(欧州仕様車) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4460×1795×1435mm
●ホイールベース:2725mm
●エンジン種類・排気量:直4 DOHC・1998cc
●エンジン最高出力:122ps ●エンジン
最大トルク:213Nm
●駆動方式:横置きFF
●トランスミッション:6速MT
●タイヤサイズ:215/45R18

マツダ 3 セダン(北米仕様車) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4662×1797×1445mm
●ホイールベース:2725mm
●エンジン種類・排気量:直4 DOHC・2488cc
●エンジン最高出力:186HP
●エンジン最大トルク:186lb-ft(約252Nm)
●駆動方式:横置きFF
●トランスミッション:6速AT
●タイヤサイズ:215/45R18

画像: マツダ 3 については、ホリデーオート2019年3月号でも紹介しています。

マツダ 3 については、ホリデーオート2019年3月号でも紹介しています。

This article is a sponsored article by
''.