ランエボと言えば三菱自動車の一番トガった部分を担ったクルマだ。当時としてはハイパワーなエンジンと、常に最新のフルタイム4WDシステムを搭載。見かけはセダンだが紛れもないスーパーカーだったランエボの歴史を振り返ってみたい。今回は、ランサーエボリューションIX。

MIVECターボを搭載し、現在もファンの多いランエボIX

2005年9月に発売されたランサーエボリューションⅨは、ボディ自体はエボⅦから踏襲されてきたものを使用したが、動力性能は画期的な革新を図ったモデルといえるだろう。

画像: ランエボIXには、GSRとRSの間にGTというグレードも設定された。

ランエボIXには、GSRとRSの間にGTというグレードも設定された。

エンジンの型式こそ初代エボリューションから変わらず4G63だったが、当時ミラージュに搭載されていた自然吸気 1.6Lの4G92エンジンに採用されていた、可変バルブタイミング機構のMIVECをランエボのパワーユニットにも採用したからだ。

画像: 吸気側のカムシャフトを駆動するタイミングギア(写真左側)にMIVEC(連続可変バルブタイミング)機構を備えた4G63ユニット。

吸気側のカムシャフトを駆動するタイミングギア(写真左側)にMIVEC(連続可変バルブタイミング)機構を備えた4G63ユニット。

これにより最高出力は280psと変わらないが、最大トルクは41.5kgmとなり、市販車としてはもちろん国内モータースポーツでは圧倒的な強さを発揮することとなる。
タービンブレードには軽量化によりレスポンスを高めるためにマグネシウム製を採用した。だが、タービンブレードの破損もあったため、アルミ製タービンへの変更が施された。

画像: 4G63パワーユニットのシリンダーヘッドに連続可変バルブタイミング機構であるMIVECが搭載されたことで、高回転域ではパワフルな走りと同時に燃費も重視している。

4G63パワーユニットのシリンダーヘッドに連続可変バルブタイミング機構であるMIVECが搭載されたことで、高回転域ではパワフルな走りと同時に燃費も重視している。

それでもなおMIVECターボを搭載したエボⅨは国内モータースポーツではライバルを圧倒する速さを見せた。

センターデフに搭載されたACD(アクティブセンターデフ)の使い方を選手が習得したことで、各カテゴリーで圧倒的な速さを披露。その真価を存分に発揮することができるようになり、2019年の現在でも現役で活躍している。

画像: ACD+スーパーAYC+スポーツABSのオールホイールコントロール(AWC)は、エボVIIIと同様。ターマック(舗装路)、グラベル(ダート路)、スノー(雪路)の切り替えができる。

ACD+スーパーAYC+スポーツABSのオールホイールコントロール(AWC)は、エボVIIIと同様。ターマック(舗装路)、グラベル(ダート路)、スノー(雪路)の切り替えができる。

ランサーエボリューションIX(2005年) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4490×1770×1450mm
●ホイールベース:2625mm
●車重:1410(1320)・1300(GT)kg
●エンジン型式・種類:4G63インタークーラーターボ・DOHC[16V]直列4気筒
●排気量:1997cc
●最高出力:280ps/6500rpm
●最大トルク:40.8(41.5)・41.5(GT5速仕様)kgm/3500rpm
※( )内はRS

2006年8月、エボIXはエボIX MRに進化して熟成される。これは4G63型エンジンを搭載する最後のランエボとなった。

画像: ランエボIXの進化モデルが、ランエボIX MR。ランエボ「9.5」などとも呼ばれた。

ランエボIXの進化モデルが、ランエボIX MR。ランエボ「9.5」などとも呼ばれた。

画像: MIVECを最適化させ、レスポンスを向上させたランエボⅨ MRのエンジン。チタンアルミ合金製タービンホイールとマグネシウム合金製コンプレッサーホイールを組み合わせた。

MIVECを最適化させ、レスポンスを向上させたランエボⅨ MRのエンジン。チタンアルミ合金製タービンホイールとマグネシウム合金製コンプレッサーホイールを組み合わせた。

ランサーエボリューションIX MR(2006年) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4490×1770×1440(1450)mm
●ホイールベース:2625mm
●車重:1420(1320)kg
●エンジン型式・種類:4G63MIVECインタークーラーターボ・連続可変バルブタイミング付DOHC[16V]直列4気筒
●排気量:1997cc
●最高出力:280ps/6500rpm
●最大トルク:40.8(41.5)kgm/3000rpm
※( )内はRS

画像: ランサーエボリューションの進化は、ホリデーオート2019年1月号でも紹介しています。

ランサーエボリューションの進化は、ホリデーオート2019年1月号でも紹介しています。

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