ランエボと言えば三菱自動車の一番トガった部分を担ったクルマだ。当時としてはハイパワーなエンジンと、常に最新のフルタイム4WDシステムを搭載。見かけはセダンだが紛れもないスーパーカーだったランエボの歴史を振り返ってみたい。最終回は、ランサーエボリューションX。

エボの最終進化形、ランサーエボリューションⅩは究極のランエボとなる

2007年、ついにランサーエボリューションはⅩに至った。ベースがギャランフォルティスになったためエボⅨとはまったく異なるボディとシャシを採用。エンジンも4B11型と、異なるエンジンが搭載された。

画像: ベース車両がギャランフォルティスとなり、スタイリングは今までのモデルとは別モノになった。

ベース車両がギャランフォルティスとなり、スタイリングは今までのモデルとは別モノになった。

エンジンはシリンダーブロックをアルミ製に変更するなど軽量化が図られ、ツインクラッチのSSTを採用した2ペダルのグレードも採用した先進のマシンとなった。

画像: 4B11ユニットを搭載。MIVECは、エボⅨでは吸気側だけだったが、エボⅩでは吸排気両方に備えられ、バルブタイミングを変える幅が広くなり、よりフレキシブルな対応が可能になった。

4B11ユニットを搭載。MIVECは、エボⅨでは吸気側だけだったが、エボⅩでは吸排気両方に備えられ、バルブタイミングを変える幅が広くなり、よりフレキシブルな対応が可能になった。

車重が競技ベース車のRSでも1400kgを超える重量級であり、デビュー当初は国内モータースポーツでも「エボIXには勝てない」と言われていたが、技術の向上で主力マシンとなっていった。

画像: 三菱がこだわり抜いた駆動系の集大成、S-AWCシステム。従来のACD、AYC、ABSに加えてアクティブスタビリティコントロール(ASC)が導入された。

三菱がこだわり抜いた駆動系の集大成、S-AWCシステム。従来のACD、AYC、ABSに加えてアクティブスタビリティコントロール(ASC)が導入された。

振りかえれば、1992年に登場したランサーエボリューションは、当時の三菱自動車の勢いを象徴するようなクルマだった。モータースポーツでの活躍がそのまま市販車の販売につながる時代でもあり、それを効果的に使用した。WRCで可能性を見せていたギャランVR-4をさらに進化させ、ランサーエボリューションでタイトルを目指した。

画像: 2007年に発売されたランエボⅩは、誰もが気持ち良く安心して高い次元の走りを楽しめる新世代ハイパフォーマンス4WDセダン。空力特性を考慮した洗練されたデザインが特徴。

2007年に発売されたランエボⅩは、誰もが気持ち良く安心して高い次元の走りを楽しめる新世代ハイパフォーマンス4WDセダン。空力特性を考慮した洗練されたデザインが特徴。

それは三菱らしいやりかたでもあり、モータースポーツに直接関係ないユーザーもランエボに魅力を感じるようになったのは事実だ。ランエボは毎年進化していったが、WRCでは97年からグループAという市販ベース車からより自由度の高いWRカーと呼ばれる規定に変更され、ランエボの活躍もエボVIまでとなる。

画像: 質感が良く、より走りの良さを感じさせるコクピット。メーターはエンジン回転数の視認性に配慮し、タコメーターを左側に、スピードメーターを右側に配置した。

質感が良く、より走りの良さを感じさせるコクピット。メーターはエンジン回転数の視認性に配慮し、タコメーターを左側に、スピードメーターを右側に配置した。

その後、ランサーもWRカーを投入するが、国内で三菱自動車のリコール隠しの問題などから社業が低迷。モータースポーツからも撤退することになる。そう考えると、ランエボを見られた世代というのは幸せな時代に居合わせたと言えるだろう。

ランサーエボリューションX(2007年) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4495×1810×1480mm
●ホイールベース:2650mm
●車重:1540/1520(1420)kg
●エンジン型式・種類:4B11・MIVECインタークーラーターボ・連続可変バルブタイミング付DOHC[16V]直列4気筒
●排気量:1998cc
●最高出力:280ps/6000rpm
●最大トルク:43.0kgm/3500rpm
※( )内はRS

ランサーエボリューションX ファイナルエディション

画像: 2015年4月に発表、8月に発売されたファイナルエディションは1000台の限定販売。GSRの5速MT車をベースに、ダーククロームメッキやグロスブラック塗装の加飾がなされていた。

2015年4月に発表、8月に発売されたファイナルエディションは1000台の限定販売。GSRの5速MT車をベースに、ダーククロームメッキやグロスブラック塗装の加飾がなされていた。

ランサーエボリューション ファイナルエディション(2015年) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4495×1810×1480mm
●ホイールベース:2650mm
●車重:1530kg
●エンジン型式・種類:4B11・MIVECインタークーラーターボ・連続可変バルブタイミング付DOHC[16V]直列4気筒
●排気量:1998cc
●最高出力:313ps/6500rpm
●最大トルク:43.7kgm/3500rpm

画像: ランサーエボリューションの進化は、ホリデーオート2019年1月号でも紹介しています。

ランサーエボリューションの進化は、ホリデーオート2019年1月号でも紹介しています。

This article is a sponsored article by
''.