2000年代にいくつかの輸入車でCVTが採用されたのだが…
減速比を無段階連続可変させるトランスミッションがCVTだ。ふたつのプーリーを繋ぐチェーンの長さを変えず、プーリーの径を変化させることにより減速比を変える仕組みだ。
ローギアードからハイギアードまでを、トルコン付きATよりワイドレシオに設定できるため、低燃費をマークできるメリットがある。また、CVTの構造がシンプルで小型・軽量であることも大きな特徴といえる。
そのため、小排気量で車両重量の軽いコンパクトカーや軽自動車にとって、理想的なトランスミッションといえる。だからこそ、国産車メーカーが多く採用するのだ。
エンジンの特性に合わせてトルクの太い回転数を維持させながら加速を続けるという、トルコン付きATにできない芸当も得意とする。ただし、これは加速中のエンジン音や排気音が変化しないことにもなる。また走行中にアクセルペダルを踏み込むと、まずエンジン回転が上昇・加速感があとからついてくる感じもする。
運転者がこうした特性を違和感として受け取りかねないのだが、最新モデルでは制御方法も改良されている。エンジン回転数と速度、加速感をリンクさせるような制御プログラムを採用するCVTも登場した。
ここで輸入車に目をうつしてみると、2000年代に登場したメルセデス・ベンツのAクラスやBクラス、アウディ A4やMINIなどにCVTが採用されていたこともあった。しかし、2019年2月現在で正規販売されている輸入車ブランドのモデルはひとつもなかった。
ではなぜ、輸入車にCVT採用モデルが少ないのか。その理由のひとつは、こうした細かい制御を一朝一夕に完成させることが難しいからだ。構造がシンプルであるがゆえに、制御プログラムがキーであるといえる。
また、低コストな3ペダル(クラッチペダル付き)MTが、欧州のコンパクトカー市場でいまだに大きなパーセンテージを占めていることも大きな要因だ。3ペダルMTより高コストなCVTを採用したことで販売価格も上がったとなれば、コストコンシャスなMT派ユーザーは離反してしまうだろう。
CVTはフリクションが大きいというデメリットも、欧州メーカーがイマイチ踏み込まない理由のひとつかもしれない。