半世紀前のクルマとは思えぬ快適性と刺激的なパワーを両立
![画像: ベース車両は1978年式のフェアレディZ、型式はC-S31改。ホイールはレイズ製TE37Vでフロントは9J×16、リアは10J×17だ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/03/11/da3fd23b0829f27ded915ceeedeaca7b62a5e33c_xlarge.jpg)
ベース車両は1978年式のフェアレディZ、型式はC-S31改。ホイールはレイズ製TE37Vでフロントは9J×16、リアは10J×17だ。
古くからアメリカではS30フェアレディZに大排気量V8エンジンを積み、ドラッグレースに用いてきた。安価なスポーツカーでも勝てるマシンに変身するのが人気の秘訣だ。
翻って現代、V8エンジンはアメリカ車の専売特許ではない。国産車にもV8搭載モデルが存在する。そこに目をつけたのが愛知県岡崎市にあるロッキーオートだ。
![画像: 外観はオーバーフェンダーなども装着しているが、現代のトヨタV8エンジンを搭載しているとは思えない。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/03/11/1229036bb9e8cf4754b0bfd8b550531a3a0b7046_xlarge.jpg)
外観はオーバーフェンダーなども装着しているが、現代のトヨタV8エンジンを搭載しているとは思えない。
同店は20年も前からS30やハコスカなどにRBエンジンをスワップしたコンプリート車両を製作販売してきた。RBとは異なる価値観を模索した時、ロッキーオートが考えたのがセルシオやレクサスLS400用のV8エンジンにスワップすることだった。
![画像: 1UZエンジン本体はノーマルのままだが吸排気効率を高めるためスポーツクリーナーとオリジナルのステンレスマフラーを装備。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/03/11/d2ced1ddf5533f4c17014acdd6871b625726c6f9_xlarge.jpg)
1UZエンジン本体はノーマルのままだが吸排気効率を高めるためスポーツクリーナーとオリジナルのステンレスマフラーを装備。
こうして生まれたのが、ここで紹介する1UZエンジンを積むZだ。ベースになったのはマイナーチェンジしてボディ剛性が引き上げられた後期型のS31(1978年式)。
ロッキーオートでは旧車にハイパワーエンジンをスワップする時、ボディに徹底した補強を加える。フロアのメインフレーム部に強度・厚みとも純正を上回る鋼材を溶接。Aピラーからインナーフェンダーを貫きメンバー周辺まで伸びるパイプを追加し、ドアやステップにも補強を加える。これにより旧車とは思えない強靭なボディに仕立て上げられている。
![画像: ダッシュボードに違和感なくオートエアコンのユニットが収まる。ステアリングはイタルボランテ、コラムはトヨタ製で1UZ用ハーネスを移植。電装系の改造がキモ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/03/11/1c670cd788ca75d289b8c4b9417761c569618e45_xlarge.jpg)
ダッシュボードに違和感なくオートエアコンのユニットが収まる。ステアリングはイタルボランテ、コラムはトヨタ製で1UZ用ハーネスを移植。電装系の改造がキモ。
特筆すべきは快適性で、チューニングカーとは思えないほど乗りやすい。もちろんクラッチ操作は必要だが、非力な女性でも難なくこなせるほどペダルは軽い。車重は1トン強しかないボディに4LのV8を載せるのだから、ストールに対する気遣いも無用なのだ。
![画像: シートは左右ともレカロ製のバケットタイプを装備。リクライニングするSEなので、リラックスしたポジションを取ることが可能だ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/03/11/e43fb1b0d01c6d740601448050710ea508c6fff5_xlarge.jpg)
シートは左右ともレカロ製のバケットタイプを装備。リクライニングするSEなので、リラックスしたポジションを取ることが可能だ。
ステアリングは油圧システムごと1UZから引き継いだパワステ仕様。極太タイヤを意識することなく据え切りもできる。さらにエアコンユニットも1UZから移植しており、50年も前のフェアレディZなのにオートエアコンが装備されている。
これにより真夏の渋滞でも普通に乗ることができる。つまり旧車、しかもチューニングカーのネガをキレイに払拭しているのだ。
![画像: グリル内のラジエターは大型化され、フロントにはエアダムスポイラーを装着している。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/03/11/ef9e8e085e8f45950b2628b9109626dbebbc59d1_xlarge.jpg)
グリル内のラジエターは大型化され、フロントにはエアダムスポイラーを装着している。
誰でも気軽に乗ることができるが、その走りは極めて刺激的。ひとたびンジンに鞭打てば背中が蹴飛ばされるように加速を始め、その勢いはレブリミットまで衰えない。補強を加え前後にはオリジナル開発したサスペンションも備えるため、操縦性にも不安はない。
![画像: ボンネットはFRP製で、熱対策のためにダクトを増設している。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/03/11/ad3649b35a4ce6166fa376d8405cf9297a37df9f_xlarge.jpg)
ボンネットはFRP製で、熱対策のためにダクトを増設している。
ところが、おとなしく乗れば燃費もリッター10kmを割ることはないという。まさにイイことずくめのエンジンスワップといえるだろう。(文:増田 満/写真:伊藤嘉啓/取材協力:ロッキーオート)
![画像: 車高調整式のオリジナルサスペンションも装着。前後のオーバーフェンダーが勇ましい。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/03/11/e1da3d8c1c5a1cb6d57df4abe8b269e081a08591_xlarge.jpg)
車高調整式のオリジナルサスペンションも装着。前後のオーバーフェンダーが勇ましい。
![画像: 禁断のV8エンジンを搭載したフェアレディZについては、ホリデーオート2019年2月号でも紹介しています。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/03/11/b6f24bd09ed38abec4c9cbd85a072a7975cf4ee5_xlarge.jpg)
禁断のV8エンジンを搭載したフェアレディZについては、ホリデーオート2019年2月号でも紹介しています。