幸運も味方につけて王者がオジェ躍動
セバスチャン・オジェ(シトロエン)の最大の勝因は、不利な出走順だった金曜日のデイ2で首位を奪ったことだった。
舞台は路面に積もった砂利がマシンのグリップを奪う典型的なグラベル(未舗装)のメキシコ。この日出走順2番手だったオジェは、自分より不利な先頭スタートのオイット・タナック(トヨタ)、2番手スタートのティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)はもちろんのこと、はるかに有利な後方スタート勢を尻目に好タイムを並べて首位を奪った。
土曜日のデイ3最初のSSでは、パンクに見舞われて大きなタイムロスを喫するかと思われたが、直後にチームメイトがコースアウトして道を塞いだためにそのステージはキャンセルとなり、2番手には落ちたものの、タイムロスは小さなものにすんだ。さらに、続くステージでオジェに代わって首位となったクリス・ミーク(トヨタ)がパンクに見舞われて後退したことも幸いし、難なく主導権を奪い返すことに成功した。
デイ3までに大きな差をつけたオジェは、最終日デイ4の序盤はタイヤを労わりながら走行。グリップを十分残したタイヤで最終パワーステージ(上位5台にエキストラのポイントが与えられる)で狙いすましたベストタイムを叩き出し、優勝25点+パワーステージ1位5点=30点のフルポイントを獲得。2位に入って18点を獲得したタナックがパンクを喫して最終パワーステージ6位=0点に終わったため、選手権ランキングでも首位のタナックに4点差と肉薄することになった。
トヨタ勢では、クリス・ミークは5位でフィニッシュ。最終日は前後の選手とのタイム差が開いていたため、ボーナスの選手権ポイントがかかる最終のパワーステージに注力して4ポイントを獲得した。また、デイ2での電気系トラブルによるデイリタイアしたヤリ-マティ・ラトバラは、デイ3で再出走し総合8位まで順位を回復した。
次戦はシトロエンの地元フランスで行われる第4戦ツール・ド・コルス(3月28~31日)。フランス・コルシカ島で開催されるこのラリーは、シーズン最初のフルターマック(舗装路)ラリーで、険しい山岳地帯を舞台とするステージが非常にツイスティなことで知られる。
2019WRC第3戦ラリー・メキシコ最終結果
1位 セバスチャン・オジェ/ジュリアン・イングラシア シトロエンC3 WRC) 3h37m08.0s
2位 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (トヨタ ヤリス WRC) +30.2s
3位 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (フォード フィエスタ WRC) +49.9s
4位 ティエリー・ヌーヴル/ニコラス・ジルスール (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +1m27.0s
5位 クリス・ミーク/セブ・マーシャル (トヨタ ヤリス WRC) +6m06.2s
6位 ベニート・ゲレラJr./ハイメ・ゼパタ・オルテガ (シュコダ ファビアR5) +15m35.5s
7位 マルコ・ブラシア・ウィルキンソン/ファビアン・クレツ (シュコダ ファビアR5) +18m51.5s
8位 ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ (トヨタ ヤリス WRC) +18m55.9s
9位 ダニ・ソルド/カルロス・デル・バリオ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +22m44.1s
10位 リカルド・トリビーニョ/マルク・マルティ (シュコダ ファビアR5) +26m21.7s
2019WRCドライバーズズランキング
1位 オィット・タナック (トヨタ) 65
2位 セバスチャン・オジェ(シトロエン) 61
3位 ティエリー・ヌーヴル(ヒュンダイ) 55
4位 クリス・ミーク (トヨタ) 35
5位 エルフィン・エバンス (Mスポーツ・フォード) 28
2019WRCマニュファクチャラーズランキング
1位 トヨタ 86
2位 シトロエン 78
3位 ヒュンダイ 77
4位 Mスポーツ フォード 45