新しい元号が「令和」に決まり、いよいよ平成が終わろうとしているが、この時代に誕生した記憶にとどめておきたいスポーツカーたちを、図鑑風に紹介していこう。今回は、日産のWRCウェポン、パルサーGTIーRだ。

パルサーGTIーRはWRC制覇を目指した日産ホットハッチの意欲作だったが…

「日産 パルサーGTIーR(RNN14型:1990年8月発売)」

画像: ボディはノーマルの3ドアハッチバックと変わらないが、ボンネット上のパワーバルジで迫力を増した顔つき。

ボディはノーマルの3ドアハッチバックと変わらないが、ボンネット上のパワーバルジで迫力を増した顔つき。

1990年8月、4代目にフルモデルチェンジされた日産のコンパクトモデル、パルサー。ボディは3ドアハッチバック/4ドアセダン/5ドアハッチバックの3種類を設定し、エンジンも1.3L〜2.0Lターボまで6種類を搭載するなど豊富なバリエーションを誇ったが、そのイメージリーダーとしてラインアップされたのが、ここで紹介するGTIーRだ。

画像: 狭いエンジンルームはギッシリで、熱対策に追われたのが惜しい。それでも0-400m加速13.5秒の俊足を誇った。

狭いエンジンルームはギッシリで、熱対策に追われたのが惜しい。それでも0-400m加速13.5秒の俊足を誇った。

GTIーRは、WRC参戦を目的に開発されたスペシャルモデルだ。搭載されるエンジンはターボ及びインタークーラーの大型化や4連スロットルなど吸排気系の改良で230psにチューンしたSR20DET型。駆動は前50:後50の固定トルク配分としたビスカスLSD付きセンターデフ式4WDという超スパルタンな設定だ。

外観も、ボンネット上にインタークーラーのための巨大なパワーバルジとエアスクープ、リアには大型のテールスポイラーなど、迫力満点。

画像: 回転計は7500rpmからレッド表示。ラリー車ベースだけにセンターコンソールにブースト/油圧/油温計をセットする。

回転計は7500rpmからレッド表示。ラリー車ベースだけにセンターコンソールにブースト/油圧/油温計をセットする。

だが、曲がらない。これは前70:後30の極端なフロントヘビーと、レギュレーション上195/55タイヤのサイズが拡大できず、エンジンパワーを持て余すことが原因だった。

それに加え、エンジンルームが狭いことからラジエターやインタークーラーの冷却が十分に行えないなど、コンペティションではさまざまな問題が生じた。

WRCでも1992年のスウェディッシュラリーで3位に入ったのが最高位で、わずか2年で撤退する。
それでも、日本国内では全日本ラリー選手権でチャンピオンにもなり、ダートトライアルなどで活躍し続けた。

画像: ルーフエンドの巨大なリアスポイラーも特徴的。大ヒット作ではないが、走り屋を中心に人気を集めた。

ルーフエンドの巨大なリアスポイラーも特徴的。大ヒット作ではないが、走り屋を中心に人気を集めた。

パルサーGTIーR(1990年)主要諸元

●全長×全幅×全高:3975×1690×1400mm
●ホイールベース:2430mm
●重量:1220kg
●エンジン型式・種類:SR20DET型・直4 DOHCターボ
●排気量:1998cc
●最高出力:230ps/6400rpm
●最大トルク:29.0kgm/4800rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:195/55R14
●価格:227万円

画像: 平成スポーツカー図鑑は、ホリデーオート2019年4月号でも紹介しています。

平成スポーツカー図鑑は、ホリデーオート2019年4月号でも紹介しています。

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