1990年代から世界で広まりはじめた、れっきとしたプロ競技だ
2019年3月中旬、トヨタは驚きの発表を行った。プレイステーション4用のドライビングシミュレーションゲーム「グランツーリスモ SPORT」の中で、GRスープラを用いたワンメイクレース「GRスープラ GTカップ」を2019年4月から10月に開催するというのだ。
さらに、「本年から新たにeモータースポーツを、トヨタGAZOOレーシングのモータースポーツ活動の柱のひとつとする」ともアナウンスしている。つまり、トヨタは本気でeスポーツに取り組むということだ。
eスポーツとはそもそも、「コンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称」だと、一般社団法人日本eスポーツ連合は説明している。この団体はセガやカドカワ、カプコン、コナミ、ガンホーといった日本有数のゲーム関連の会社が加盟する、eスポーツの振興を目的とした団体だ。
とはいえ、「ゲームをスポーツというのは理解しがたい」と考える人も多いだろう。しかし、スポーツを“身体を動かすもの”ではなく、“競技”と考えるとどうだろう。「一定のルールの元で、勝ち負けを競うモノ」と見れば、コンピューターゲームも競技のひとつといえる。
そこに観客とスポンサーが揃えば興行ともなる。とくにパソコン系のゲームでは、パソコン本体に加えてモニターやマウスなどの周辺機器、モータースポーツ系ゲームであれば、さらに専用のハンドルやペダル、シートなどのような大がかりな装置も利用することになる。
そうした機器メーカーが、ゲームのスポンサーになって大会が開催されているのだ。お金が動けば、プロプレーヤーが誕生するのも当然の流れだろう。
ゲームのスポーツ化(競技化)は、1990年代から海外で始まり、2000年には「eスポーツ」という呼び名が生まれ、世界各地で大会が盛んに行われるようになった。日本での活動はごく最近になってからのこと。日本eスポーツ連合も2018年1月に設立され、国内のプロ選手を認定したり、国際大会に日本代表選手を送り出すなどの活動を行っている。
個人が楽しむ趣味として始まったスポーツも、観客が生まれたことで競技となり、選手や大会を支えるスポンサーがついて興行化、プロスポーツへと発展していった。これと同じことが、コンピューターゲームの世界でも進んでいるわけだ。