ランサーエボリューションとともに、WRC競走用ベースマシンにして公道最速を目指した究極のロードカー、スバル・インプレッサWRX STI。その系譜を紹介していこう。今回は、STiバージョンIIだ。

スバルファンに定着したSTiは、さらに速さを求めた

「インプレッサWRX タイプRA STiバージョンII(E-GC8/E-GF8):1995年8月発表・発売」

画像: エクステリアデザインには大きな変更は施されず、前モデルのWRX タイプRA STiとほぼ同じ。

エクステリアデザインには大きな変更は施されず、前モデルのWRX タイプRA STiとほぼ同じ。

STiチューンの反響の大きさに触発されたスバルは、1995年にSTiバージョンIIを投入する。まだ翌年3月までの期間限定受注生産だったが、STiの手がけたスペシャルモデルは確実にユーザーの支持を集めていた。

画像: リアビューもWRX タイプRA STiと変わらず、バージョンIIであることを見分けるポイントはない。

リアビューもWRX タイプRA STiと変わらず、バージョンIIであることを見分けるポイントはない。

グレード展開はセダン/ワゴンに加え、前年11月に鳴り物入りで登場したタイプRAの3種で、エンジンはタイプRA用にSTiがチューンした275ps/32.5kgm仕様のEJ20型ターボをワゴンを除く全車に搭載した(ワゴンは260ps/31.5kgm)。

想定される連続高負荷運転に対応するため、大容量水冷ターボは高出力タービンの採用と排気系の抵抗低減、大型空冷IC(インタークーラー)採用などの対策を実施。さらにタイプRAはICウオータースプレーを装備して熱対策に万全を期している。

画像: エンジンはセダンが275ps/6500rpm、ワゴンは260ps/6500rom仕様を搭載。性格に合わせて出力特性を使い分ける。

エンジンはセダンが275ps/6500rpm、ワゴンは260ps/6500rom仕様を搭載。性格に合わせて出力特性を使い分ける。

駆動系はSTiバージョンIIにべベルギア式センターデフ付きフルタイム4WDを装備するが、タイプRAにはコンペティティブな使い方に備え、先代同様センターデフにDCCD/リアに機械式LSDを搭載して旋回性能とコントロール性を高めている。

同時にタイプRA専用オプションとして13:1のクイックステアリングギアボックスを設定して、素早い操作を可能にするなど、ラリーで勝つための装備が惜しみなく投入された。

画像: ステッチ入りSTi/ナルディ製ステアリングを装備。クイックシフトリンケージでストロークを短縮したシフトレバーも装備する。

ステッチ入りSTi/ナルディ製ステアリングを装備。クイックシフトリンケージでストロークを短縮したシフトレバーも装備する。

インプレッサ555で戦った94年のWRCではドライバーズチャンピオンこそ逃したものの、マニュファクチャラーズチャンピオンの座を得るなど、輝かしい成績を残している。

画像: ワゴンWRX STiバージョンIIのエンジンは260psだが、タワーバーやクイックシフトリンケージなど、走りの装備には手を抜かない。

ワゴンWRX STiバージョンIIのエンジンは260psだが、タワーバーやクイックシフトリンケージなど、走りの装備には手を抜かない。

インプレッサWRX タイプRA STiバージョンII(1995年)主要諸元

●全長×全幅×全高:4340×1690×1405mm
●ホイールベース:2520mm
●重量:1200kg
●エンジン型式・種類:EJ20型・水平対向4 DOHCターボ
●排気量:1994cc
●最高出力:275ps/6500rpm
●最大トルク:32.5kgm/4000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:205/50R16
●価格:272万8000円

画像: インプレッサWRX STIの系譜は、ホリデーオート2019年5月号でも紹介しています。

インプレッサWRX STIの系譜は、ホリデーオート2019年5月号でも紹介しています。

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