ここから生まれるモデルは、どんなクルマになるのだろうか?
両社は、共同で開発した車両を、各々のブランドにて販売する予定だ。また、これらのプラットフォーム/車両の共同開発においては、トヨタが仲間づくりに取り組んでいる電動化技術とスバルが長年培ってきたAWD(全輪駆動)技術を活用するなど、両社の持つ技術の強みを持ち寄ることで、EVならではの魅力ある商品づくりにチャレンジしていく。
トヨタとスバルは、2005年に業務提携について合意して以来、2012年には共同開発したFRスポーツカーのトヨタ 86 と スバル BRZを販売し、2018年にはトヨタの持つハイブリッド車技術に関する知見を活用して、スバル オリジナルのプラグインハイブリッド車「クロストレック ハイブリッド」を米国で販売するなど、開発・生産・販売などさまざまな分野での協業を深めてきた。
自動車業界は100年に一度といわれる大変革期の渦中にあり、両社はコネクティッド(Connected)、自動化(Autonomous)、シェアリング(Shared & Service)、電動化(Electric)といった「CASE」と呼ばれる新しい領域への対応をはじめ、これまで以上に広い領域において、スピード感を持った技術開発が求められている。
今回の合意は、これまでの両社が深化させてきた協業の中でも、特に対応が急がれるCASE領域の中の「E:電動化」への新たな協業に合意したものだ。
EVの商品化においては大容量電池の搭載が必要であり、普及に際しては異次元の電池供給量が求められることに加え、航続距離や充電インフラ敷設状況によるクルマの使われ方の違いから、これまでのアプローチとは違った販売手法が求められるなど、現時点ではコスト・供給・売り方などさまざまな課題が山積している。
トヨタとスバルは、これら市場の多様化するニーズやさまざまな課題にスピード感を持って対応するためには、これまでの発想にとらわれない新しいビジネスモデル、業界の垣根を超えて様々な仲間とともに取り組むことが必要だと考えている。
今回はその第一歩として、両社がお互いの得意とする技術を持ち寄り、可能な部分は協調することで、その製品化を加速させながら、EV専用プラットフォームを共同開発していく。
同プラットフォームは、CセグメントからDセグメントクラスのセダン、SUV等の複数車種への幅広い応用や、効率的な派生車開発にも対応できるよう開発していく。
このプラットフォーム開発によって、両車からどのようなモデルが登場するのだろうか。EVとは謳っているが、それがBEV(バッテリー式電気自動車)なのか、トヨタが得意としているFCEV(燃料電池で発電して走行する電気自動車)なのかは、現段階では分からない。いずれにしても、この共同開発は国内外の自動車メーカーに少なからぬ影響を与えることは間違いないだろう。