2019年夏、アテンザはマツダ6に車名を変更。2.5Lターボ車も追加される
既にマツダは次世代商品=スカイアクティブ第二世代を「スモール」と「ラージ」に大別することを明らかにしている。前者は前輪駆動ベースのCセグメント車。国内だけではなく海外での生産も視野に入れた量産モデル群だ。後者は、久々の新規開発・後輪駆動プラットフォームを採用し、当面は国内生産に限定した上級モデル群と位置づけている。
どちらも、マツダが社運を賭けた次世代ラインアップであり、過去最大規模となる商品改革となる。その第一弾が、スモール商品群の頭出しとなるマツダ3。第二弾が2019年夏に国内発表される新型クロスオーバーのCX-30だ。
一方、後輪駆動プラットフォームや縦置き6気筒エンジンを採用する上級商品群はどうなるのか。そのラージ商品群の頭出しは、マツダのフラッグシップでもある新型アテンザと考えるのが理にかなっている…と少なくともつい最近まではそう考えられていた。ところが、最新の調査でそれは誤りであることが判明した。実は、現行アテンザは2018年のラージマイナーチェンジに続き、2019年の夏にもさらなる商品改良が加わることが判明したのだ。
さらに驚くのは「アテンザの車名をやめ、新たにマツダ6を名乗る」という事実。アクセラに続き、アテンザの名前も消滅する。このタイミングで車名を変更するということは、少なくともあと2年ほどは次世代へのバトンタッチはないと考えるべきだろう。
では、2020年度に投入されることが確実なプレミアムFRはなにか? すぐに思いつくのが2017年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカー「ヴィジョンクーペ」をベースとした4ドアクーペだ。
新たなフラッグシップはプレミアム4ドアクーペになる
そこで思い当たるのが2018年秋に登録された商標だ。往年のフラッグシップクーペである「MⅩ-6」が再度商標登録されたのである。ちなみにMX-6とは、1992年から1995年まで国内で販売されていた2ドアクーペ。2.5LのV6 DOHCを搭載(2L 直4モデルもあり)した全幅1750mmの大型クーペだった。
商標登録された情報はネットを中心に瞬く間に広がり、「次期アテンザのプラットフォームを使った大型の2ドアクーペが出る」と、ちょっとした騒ぎになった。だが事実は微妙に異なる。ある情報筋の証言を紹介しよう。
「商標の件で言えば、2018年11月に〝ランティス〟も再申請していますからねぇ(笑)。とは言え、新たなフラッグシップと呼んで差し支えないクルマは確かにあります。マツダ社内でもクーペと呼ばれているそうですから。ただ、ウワサになっている2ドアではなく、4ドアのクーペですよ。実は先代のアテンザが企画された時にも、2ドアクーペは検討されました。しかし、当時の市場動向やマツダの体力を考え併せると、セダン、ワゴンに加えて採算性に難のあるクーペまでラインアップするのは、あまりにリスキーだということでお蔵入りしたのです。現行モデルの企画時も同様で、セダンとワゴンに原資を集中させました」
もう10年以上前の話だが、やはりクーペは検討されていた。それが今回、次世代商品群を検討するにあたり再度浮上してきたのだ。前出の情報筋によれば……。
「ブランドの方向性がより明確になって、プレミアム指向が鮮明になってきました。ラージ商品群が新たに後輪駆動ベースとなるのが象徴的で、文字通り新たなフラッグシップが必要になってきたのです。現在のマツダはスカイアクティブ・テクノロジーと魂動デザインをプレミアム化の2本柱とする戦略をとっています。そこで再びクローズアップされてきたのが、デザイン力を最大限に発揮できるクーペ、しかもいまやプレミアムブランドが必ずラインアップしている4ドアクーペに白羽の矢が立ったというわけです。これに次世代テクノロジーをフル採用した新たなフラッグシップが開発途上なのです」
証言はさらに具体的になってくる。
「みなさん、すでにコンセプトカーは見たことがあるでしょ? 2017年の東京モーターショーに出品されたヴィジョンクーペは実車のイメージにかなり近いらしいですよ。さすがにあんなに大きくないし、ハンドメイドでなければ不可能なボディラインの再現は難しいでしょうけれど、マツダのデザインチームが第二世代魂動デザインの象徴として力を入れているそうなので期待していいと思います」
この4ドアクーペがMX-6を名乗るかどうかは現段階では不明だが、あくまでマツダ6とは別の車種という位置づけになることはもはや疑いようはない。ちなみに2019年の東京モーターショーでの公開が期待されるが、残念ながらそれはない模様。
可能性が高いのは、2020年6月に開催されるマツダ創業100周年記念イベントだ。果たしてそのとき、新たなフラッグシップクーペは「MⅩ-6」を名乗るのだろうか?(ホリデーオート2019年3月号より最新情報を加えて再編集しています)