スープラは、1978年にセリカXXとしてのデビュー以来、どの世代でも直列6気筒エンジンを積んだFRモデルを伝統としたスポーツモデルである。残念ながら2002年に生産が終了していたが、17年ぶりにその新型モデルが復活した。
トヨタの言葉を借りれば、5世代目となる新型スープラは、2013年1月に締結されたBMWとの包括提携による初の商品である、という。生産はマグナ・シュタイヤー社のオーストリア グラーツ工場で行われ、そこからトヨタ自動車元町工場を経由して日本各地にデリバリーされる。
売れ行きは好調で、とくに上級グレードのRZは、すでに今年度中の台数が完売しているという。ちなみに6月13日時点で注文するとグラーツの工場出荷時期目処は、なんと2020年2月である。
新型スープラは、BMWのオープンカー Z4とそれぞれ同じエンジンとプラットフォームを使い開発している。部品を共用している部分があるが共同開発ではなく、それぞれ別々に開発したという。
ただ私自身、先にBMW Z4に試乗したということもあり、スープラに乗っていると、どうしてもZ4との共通部分を探してしまう。これが逆にスープラを先に乗っていたらZ4にスープラとの共通な部分を探していただろう。ちなみに実際のところiDriveコントローラーやその周辺、スイッチ類、リモコンキーの形状など目に見えるだけでも多くの部分に共通しているところがあった。
これはパワートレーンも同じだ。3L直6タ ーボはRZ&Z4 M40i、197ps版2L直4ターボはSZ&Z4 20iに搭載される。唯一違うのは258ps版の2L直4ターボエンジンはZ4に積まれていないところ。トランスミッションは、全車8速ATを組み合わせる。
今回の試乗では、ごく短時間だったが、RZ、SZ-R、SZの3モデルに触れることができた。じっくりと乗り込む時間はなく試乗会場のまわりを少しだけ撮影時に運転した程度なので、スープラのパフォーマンスを語ることはできない。
ただそんな中でも、じっくり乗ってみたら面白いかもしれないと思ったのはSZである。街中で走るにはちょうどいいパワーで持て余すことがなさそうな印象を受けた。そしてRZは、サーキットに持ち込んだりすれば楽しいかもしれない、という片鱗が感じられた。(文 千葉知充・Motor Magazine編集長/写真:永元秀和)
■トヨタ スープラ RZ
全長×全幅×全高:4380×1865×1290mm、ホイールベース:2470mm、車両重量:1520kg、パワートレーン:直6DOHCターボ、総排気量:2997cc、最高出力:250kW(340ps)/5000rpm、最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1600-4500rpm、トランスミッション:8速AT、駆動方式:FR、燃料・タンク容量:プレミアム・52L、WLTCモード燃費:12.2km/L、車両価格:690万円