7月19日、トヨタは世界的なトータルエネルギーソリューション企業である中国のBYD(比亜迪股份有限公司)とEVの共同開発に合意するとともに、EV車両と搭載用電池の共同開発について検討を始めていることを発表した。クルマの電動化が急加速する中で、先頭集団を走る2社が手を結んだことで、業界に激震がはしっているが…。

正直、圧倒的な規模を誇りながら日本ではまだ知る人ぞ知る存在なのがBYDだ。中国・広東省深圳に本拠を置く巨大企業で創業は1995年。その事業コアとなっているのはバッテリーなどのIT関連部品と自動車だ。とくに創業時からかかわるバッテリー事業では他の追随を許さず、リチウムイオン電池製造で世界第3位、携帯電話用では世界一(いずれも2018年度)という圧倒的なポジションを占める。

さらにバッテリー事業のノウハウを武器に2003年にはBYDオートを設立して電気自動車事業に参入。2008年12月には世界初の量産型PHV(プラグインハイブリッド)である「BYD F3DM」を発売したことでも話題になった。ちなみに電動シフトが急速に進む中国でEVのシェアナンバーワンはBYDである。

そんなビッグネームでありながら、日本での活動はまだ限定的だ。2015年には大型〜中型EVバスを京都急行バスに納車、日本市場に初めて中国の自動車メーカーが参入したことでちょっとした話題になるも、その後は大きな動きはなかった。

画像: BYD初の日本市場向け小型電動バス「J6」。希望小売価格は1950万円(税別)で、納車は2020年春から。2024年までに1000台の販売を計画している。

BYD初の日本市場向け小型電動バス「J6」。希望小売価格は1950万円(税別)で、納車は2020年春から。2024年までに1000台の販売を計画している。

再び動きがあったのが、今年3月のこと。初の日本仕様として開発された小型電動バス「J6」を発表したのだ。本年3月25日より先行予約を開始し、2020年より納車が行われるという。ちなみにJ6は同社のK6をベースに日本市場向けに開発され、一充電の航続可能距離は200km。また日本向けに部品のモジュール化などメインテナンスの効率化なども図られている。さらに高齢化が本格化する日本市場に向けてノンステップ式低床フロアを採用するなど、日本市場を十分に研究した上での参入だ。ちなみにJ6の販売価格は1950万円(税抜き)で、2024年までに1000台の販売を予定している。

画像: ビーワイディージャパンの花田晋作副社長。「J6」の発表会にて小型EVバス投入の意気込みを語った(2019年3月の発表会にて)

ビーワイディージャパンの花田晋作副社長。「J6」の発表会にて小型EVバス投入の意気込みを語った(2019年3月の発表会にて)

そんなBYDとトヨタがどのような協業を行うのか。まず共同開発されるのは、セダンタイプと低床SUVタイプとのこと。そしてこの2車は2020年代前半に中国市場で“トヨタ・ブランド”で発売される。しかも搭載される電池も共同開発だ。技術、規模ともに今後EVの主戦場となる中国市場にむけて手を握った巨大企業二社。果たしてライバル陣営の心中はいかに?

画像: 去る6月6日にトヨタとスバルはEVのSUVを共同開発することを発表したばかり。EV専用プラットフォームもスバルとの共同開発だが、ひょっとするとこのプラットフォームがBYDとの共同開発車に使われるかもしれない。

去る6月6日にトヨタとスバルはEVのSUVを共同開発することを発表したばかり。EV専用プラットフォームもスバルとの共同開発だが、ひょっとするとこのプラットフォームがBYDとの共同開発車に使われるかもしれない。

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