昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は、昭和48年発売の三菱 ランサー 1600GSRだ。

優れた馬力荷重とバランスの良さでラリー界を席巻

三菱 ランサー 1600GSR:昭和48年(1973年)8月発売

画像: 三菱 ランサー 1600GSR:昭和48年(1973年)8月発売

ギャランLの下のポジショニングを与えられたポピュラーカーがランサーだ。デビューは昭和48年(1973年)1月で、日産 バイオレットと同じ時期に発表されている。

スタイリングはロングノーズ & ショートデッキのエアロノーズラインを基調に、直線と曲線を織り混ぜた個性的なものだ。リアもタテ長のコンビネーションランプを組み込み、テールエンドを大胆にカットするなど、かなり目を引くデザインだった。

画像: GSR用の1.6Lサターンエンジンはストロンバーグ・ツインキャブで110ps/14.2kgmを発生。写真のエンジンはC-IIスポーツキットを装着したワークス仕様。

GSR用の1.6Lサターンエンジンはストロンバーグ・ツインキャブで110ps/14.2kgmを発生。写真のエンジンはC-IIスポーツキットを装着したワークス仕様。

デビュー当初はファミリーユースを意識したモデルばかりだったが、同年の8月にホットバージョンの1600GSRが追加されている。これは「サターン」のニックネームを持つ4G32型4気筒SOHCエンジンにツインキャブを装着した俊足2ドアセダンだ。

クロスフロー半球形燃焼室を備えた高効率の1597ccエンジンの圧縮比を9.5に高め、2バレルキャブを2連装することによって最高出力は110ps/6700rpm、最大トルクは14.2kgm/4800rpmを得ている。

5速MTを駆使すれば、825kgのボディを175km/hの最高速度まで引っ張る実力を秘めていた。

サスペンションは前:ストラット/後:リジッドリーフというオーソドックスなレイアウト。だが、そのポテンシャルはずば抜けて高かった。

画像: サファリラリー優勝を記念して1974年5月に100台限定発売されたラリー・ランサーには4点式フルハーネスシートベルトとフットレスト、電流/油圧/電圧計が装備された。写真はワークス仕様のフル装備車。

サファリラリー優勝を記念して1974年5月に100台限定発売されたラリー・ランサーには4点式フルハーネスシートベルトとフットレスト、電流/油圧/電圧計が装備された。写真はワークス仕様のフル装備車。

足の良さは国際ラリーを席巻したことでも証明された。1973年、オーストラリアでのサザンクロス・ラリーで勝利を納めたランサーGSRは、翌74年の東アフリカ・サファリ・ラリーでも初出場ながら総合優勝を飾り、シャシバランスや耐久性、信頼性の高さを誇示した。1976年の同ラリーでもランサーは優勝している。

1.6L SOHCのエンジン性能は160psに引き上げられていたものの、さほど有利ではなかったランサーが活躍できたのは、どこからでも加速できるロングストロークによる中速域トルク特性の良さと、極めて耐久性の高いシャシの組み合わせによるものだった。

まさに騎士道華やかな時代の「槍騎士(ランサー)」を思わせる、男のスポーツセダンがランサー 1600GSRだった。

画像: 前後とも比較的シンプルなデザインのランサーだが、ラリー仕様では精悍な雰囲気に。

前後とも比較的シンプルなデザインのランサーだが、ラリー仕様では精悍な雰囲気に。

ランサー 1600GSR(2ドア) 主要諸元

●全長×全幅×全高:3965×1525×1360mm
●ホイールベース:2340mm
●重量:825kg
●エンジン型式・種類:4G32型・直4 SOHC
●排気量:1597cc
●最高出力:110ps/6700rpm
●最大トルク:14.2kgm/4800rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:155SR13
●価格:71万円

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