ブランドの枠を超えてワールドワイドで益々活況を呈するSUVマーケット。この連載企画では、国産・輸入車を問わずSUVの「今」を感じられるモデルを順次紹介していく。今回紹介するのは「アウディQ2」だ。

シリンダー休止で燃費向上を図る

2017年に日本デビューしたQ2は、Q3よりコンパクトな全長×全幅×全高=4200×1795×1500mmのボディや、1.0Lと1.4Lエンジンなどのスペックを見る限り、位置づけはアウディQシリーズの末弟と思われた。しかしアウディは「斬新なエクステリアと抜群の取り回しの良さ、数々の先進機能を搭載したプレミアムコンパクトSUV」で、サイズや排気量で決まる「既存のヒエラルキーとは無関係な独自の存在」だと説明する。本国では2Lのクワトロも展開するが、日本にはFFの30TSFI(1.0L)/同スポーツと35TSFI(1.4L)の3機種が導入される。

日本仕様Q2で唯一、1.4Lを積む35TSFIシリンダーオンデマンド スポーツは、車名が従来の排気量表記からアウディが定める最高出力147ps~161psまでのエンジンを表す数字表記に変わった。エンジンはTSFIからわかるように、ストレスなく6500rpmまで使える吹け上がりやアクセルレスポンスの良さに定評がある直4DOHC直噴ターボで、150ps/250Nmを発生。車名どおり、低負荷時に第2/第3シリンダーを休止して燃費を向上させるシリンダーオンデマンド(COD)機能を搭載して、JC08モード燃費17.9km/Lを実現している。

パワートレーンはSトロニックと呼ぶ7速DCTと、MQBプラットフォームによるエンジン横置きFFの組み合わせ。サスペンションは前:ストラット/後:トーションビームとコンベンショナルだが、フロント荷重の軽さや、Q3より10mm短い2595mmのホイールベースがもたらすリニアな操舵感が美点だ。市街地走行や車庫入れの際、5.1mという抜群の最小回転半径を生かすため、プログレッシブステアリングも標準装備している。

画像: 走りはSUVというよりはスポーツハッチバックのそれに近い。(ファーストエディション)

走りはSUVというよりはスポーツハッチバックのそれに近い。(ファーストエディション)

充実のドライバーアシスト機能

エクステリアは、これまでのアウディのデザイン作法とは一線を画す、ポリゴンデザインコンセプトでデザインされた。アウディのアイデンティティであるシングルフレームグリルは八角形になり、位置も高めに設置されるほか、複雑な面の組み合わせでコンパクトサイズながら斬新で存在感のあるスタイルに仕上げられた。アイスシルバーメタリックに塗装された「ブレード」と呼ぶCピラーも、リアビューにファッション性を与えるよいアクセントになっている。

インテリアでは、水平方向に段違いの太いアクセントラインが走る立体的なダッシュボードや、エアコン吹き出し口下部及びドアパネルの面を強調した造形に、Q2の新デザインコンセプトが用いられた。

コンパクトサイズにもかかわらず、パッケージングの煮詰めで、前後席ともにQ3にも通じるゆとりのあるヘッドクリアランスとフットエリアを確保したのも美点のひとつ。同時に180mmの最低地上高を確保しながら全高を1500mmに抑えて立体駐車場の高さ制限をクリアしたのも都市生活者には朗報だ。ラゲッジ容量は5名乗車時に405L、最大1050Lを確保している。

先進装備では、前走車との車間距離を一定に保つアダプティブクルーズコントロールや、衝突の危険がある場合注意喚起や自動ブレーキを行うアウディプレセンスフロントなどを標準装備。アシスト機能が充実しているのも見所のひとつだ。

画像: 搭載の1.4TFSIエンジン。最高出力150ps/最大トルク250Nmを発生。

搭載の1.4TFSIエンジン。最高出力150ps/最大トルク250Nmを発生。

■アウディQ2 35TSFI COD スポーツ 主要諸元

●全長×全幅×全高=4200×1795×1500mm
●ホイールベース=2595mm
●車両重量=1340kg
●エンジン=直4DOHCターボ
●排気量=1394cc
●最高出力=150ps/5000-6000rpm
●最大トルク=250Nm/1500-3500rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=7速AT
●車両価格(税込)=411万円

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