昭和は遠くなりにけり・・・だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は昭和62年発売のホンダ シビック(4代目)だ。

ファミリーカーの皮を被った真性FFスポーツカー

ホンダ シビック3ドア Si:昭和62年(1987年)9月発売

画像: 先代のワンダーシビックを踏襲したロングルーフのスタイル。前回紹介したCR-Xよりは全長は210mm、ホイールベースは200mm長い。

先代のワンダーシビックを踏襲したロングルーフのスタイル。前回紹介したCR-Xよりは全長は210mm、ホイールベースは200mm長い。

昭和62年(1987年)9月、シビックは4代目にフルモデルチェンジされた。同時にフルモデルチェンジされたCR-Xは、中でもCR-X SiはFFスポーツカーとしての評価を確固たるものにしたが、シビックにも同じパワーユニットを搭載したホットバージョンのシビックSiがラインアップされた。

スタイリングは、こちらもCR-Xと同じく先代のキープコンセプト。シビックのファミリーユースを考慮した使い勝手の良いロングルーフの2ボックス、居住空間を広くすべくボンネットを切り詰めたMM(マンマキシマム・メカミニマム)思想を追求したものとなっている。

画像: 改良型のZCエンジンは130psで、当時の1.6Lクラスではトップレベル。1トンに満たない軽量ボディを引っ張るには十分以上のポテンシャルを持っていた。

改良型のZCエンジンは130psで、当時の1.6Lクラスではトップレベル。1トンに満たない軽量ボディを引っ張るには十分以上のポテンシャルを持っていた。

シビックSiのエンジンは、改良されたZC型だ。ネット値で最高出力130psと最大トルク14.7kgmのパワースペックを発揮するのはCR-X Siと同じ。またサスペンションにレーシングカーでお馴染みの前後ダブルウイッシュボーン式を採用しているのも、CR-Xと同じだ。ということは、シビックSiはCR-X Siよりも走りの楽しさが劣るファミリー向けのクルマなのか?というと、けっしてそうではない。

CR-Xよりもロングホイールベース化されたため、走行安定性が高まり、高速コーナリングなどでは卓越した性能を発揮した。ストリートや峠などでも人気が高かったが、日本中のサーキットでレーシングカーとして活躍する姿が見られた。

画像: インパネのデザインはCR-Xとは少し異なる。それでもインテリアは虚飾を省いて、走りに徹した雰囲気なのは変わらない。

インパネのデザインはCR-Xとは少し異なる。それでもインテリアは虚飾を省いて、走りに徹した雰囲気なのは変わらない。

FFでありながら「クセ」も抑えられており、ふだんはファミリーユース、週末はどこかに走りに行くなどと、一台で二度美味しいクルマとなっていた。

1989年9月になると、CR-Xと同じく可変バルブタイミング・リフトエンジンのVTECを搭載したSiRが設定されることとなる。こちらもスポーティカーとしての評価は非常に高く、舗装のサーキットだけでなく、コーナーでの扱いやすさからラリーやダートトライアルといった土系のモータースポーツでも活躍する姿が見られた。元号が令和となったいまでも、FFスポーツモデルとしては十分に速いクルマと言えるだろう。

画像: ボディの全長やホイールベースの長さから、CR-Xよりも挙動が穏やかでコーナーでの限界がつかみやすく、優れた操縦性を見せた。

ボディの全長やホイールベースの長さから、CR-Xよりも挙動が穏やかでコーナーでの限界がつかみやすく、優れた操縦性を見せた。

ホンダ シビック Si 主要諸元

●全長×全幅×全高:3965×1680×1335mm
●ホイールベース:2500mm
●重量:900kg
●エンジン型式・種類:ZC型・直4 DOHC
●排気量:1590cc
●最高出力:130ps/6800rpm
●最大トルク:14.7kgm/5700rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:185/60R14
●価格:143万円

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