スーパーカーといえばエンジンはミッドシップ・・・と思われがちだが、コンベンショナルなFR(フロントエンジン リアドライブ)を採用しているモデルも、1960年代から21世紀の現代まで数多く存在する。そこで、FRならではの美しい佇まいも備えたスーパースポーツカーを紹介する連載企画をお届けしよう。

JAGUAR F-Type:ジャガー Fタイプ(2013-)

画像: ロングノーズ&ショートデッキのフォルムもかつての名車Eタイプを連想させる。古典的なスーパーカー的雰囲気をもったクルマだ。

ロングノーズ&ショートデッキのフォルムもかつての名車Eタイプを連想させる。古典的なスーパーカー的雰囲気をもったクルマだ。

1950年代には、ル・マン24時間レースなどのスポーツカーレースで大活躍したジャガー。その当時はスポーツカーをラインアップしていたが、名車と呼ばれたEタイプが1975年に生産中止されてからは、XJ-SやXK8といったスポーティクーペは登場したものの、スポーツカーと呼べるものは存在しなかった。

20世紀末には経営不振からジャガーはフォードの傘下に入り、そのフォードも2000年代後半に経営不振に陥ると、ジャガーは2008年にランドローバーとともにインドのタタ モータースに売却される。そしてタタ モータースの傘下でジャガー ランドローバーとなり、両ブランドとも業績が急回復する。

画像: 現代風のラグジュアリーさを備えながら、最近のクルマにない低く潜り込むようなドライビングポジションはスポーツカーそのものだ。

現代風のラグジュアリーさを備えながら、最近のクルマにない低く潜り込むようなドライビングポジションはスポーツカーそのものだ。

そしてジャガーは、2011年に発表したコンセプトカー「C-X16」をベースにした久しぶりのスポーツカー「Fタイプ」を2013年に発表して、ブランドのスポーツイメージをアピールする。その車名が、かつてのEタイプに続く「F」を冠したことからも、ジャガーの正統的スポーツとして久々の復活であることを証明している。

Fタイプは、Eタイプ以上に高性能にこだわった。フロントに搭載されるエンジンは3LのV6、5LのV8ともスーパーチャージャーが装着され、ベーシックなV6でも340ps、V8は495psを誇った。いずれのエンジンも年次改良でパワーアップされ、V6は380ps、V8は575psにまで発展する。その発する破裂音の演出も容赦ないものだった。

画像: 前ヒンジのボンネットを開けても、大きなカバーに覆われてエンジン本体は見えない。

前ヒンジのボンネットを開けても、大きなカバーに覆われてエンジン本体は見えない。

「カッコ良さ」が命のジャガーらしく、Fタイプはスタイリングには最優先にこだわっている。前述のEタイプをも彷彿とさせるロングノーズ ショートデッキの古典的なFRクーペスタイルは、実に美しい。2014年にはオープンボディのコンバーチブルも追加設定された。ポルシェ 911などのライバルを意識してか、4WDも設定されている。

ボディ構造はジャガーが得意とする最新アルミ技術を採用している。時代の影響を受けてか、2017年には2L 直4のダウンサイジングターボを搭載したモデルも設定された。現在の日本仕様では5種類のエンジンで32車種のラインアップを展開する。C-X16のデビュー以来8年以上が経つが、Fタイプの美しさは色褪せていない。

画像: クローズドのクーペスタイルも美しいが、オープントップのコンバーチブルも負けず劣らず美しいスタイルだ。

クローズドのクーペスタイルも美しいが、オープントップのコンバーチブルも負けず劣らず美しいスタイルだ。

ジャガー Fタイプ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4475×1923×1311mm
●ホイールベース:2622mm
●車重:1705kg
●エンジン形式・排気量:90度V8 DOHC+S/C・4999㏄
●最高出力:423kW<575ps>/6500rpm
●最大トルク:700Nm<71.4kgm>/3500rpm
●燃料タンク容量:70L
●トランスミッション:8速AT
●タイヤサイズ:前265/35ZR20、後305/30ZR20

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